昨年度卒業した松田ゼミ生(平野愛理、PFU所属)が、情報処理学会全国大会で発表した卒業研究の内容をさらに深め、「ヒューマノイド型ロボットを用いた褒める行為に着目した学習支援システムの試作と評価」という内容で、情報処理学会のコンピュータと教育研究会(148回研究発表会)で発表してきました。

開催場所は日本大学文理学部、参加者は35名程度、発表時間は20分、質疑は10分です。

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発表後、以下のような活発な議論がなされ、質疑時間が足りないくらいでした。

1. Pepperの3次元的な褒める動作と二次元の映像の褒める動作の影響の違いは何か?
2. ロボットが褒める利点、立体的なロボットが褒めると良いのか?
3. 今後の課題の長期評価におけるPepperの褒める動作の変化はどのようなものを考えているか?
4. 褒める動作を少し変えるくらいでは学習者の飽きを止めることはできないと思うがそこはどう考えているか?
5. 変なホテルはロボットを導入したが、最近はロボット以外で展開している。どう考えるか?

また、発表後、本研究と同じ方向性を持つ研究を行おうとしている筑波大学の大学院生と1時間弱ほど意見交換をし、議論を深めました。

情報デザイン専攻では、はじめてプログラミングを学ぶ1年生向けに「プログラミング入門」という授業があります。この授業では、図形やアニメーションを描きながら、楽しくプログラミングを学ぶことができるProcessingと呼ぶプログラミング言語を使用しています。

平成29年度にも最後の3回の授業時間を使ってプログラミングコンテストを実施しました(これまでの結果はこちらからご覧になれます。第1回コンテスト第2回コンテスト第3回コンテスト第4回コンテスト)。平成29年度のコンテストのテーマは「しなやか」にしました。平成30年度には大妻女子大学110周年記念事業を予定しており、その記念事業のテーマが「しなやかに、生きる」に決まりそうということを聞き、それを先取りしようと考えこのテーマにしました。ところが、最終的には記念事業の方は別のテーマに決まってしまいました。とはいえ、「しなやか」という単語には、柔らかい優しさを持ちつつしっかりとした芯をもつというニュアンスがあり、とっても良いテーマだと今でも思っております。また、プログラミングの観点からもアニメーションなどでしなやかさを如何に表現するかということが難しく、とてもやりがいのあるテーマになったと考えております。

こうして1年生全員が取り組んだコンテンストですが、平成29年度もProcessingのアニメーションを駆使した素晴らしい作品が多数制作されました。その中から教員4名による審査の結果、優秀賞(ゴールド)2件、優秀賞(シルバー)2件を選出しましたので、ご報告いたします。

受賞されたみなさん、おめでとうございます。また、惜しくも受賞できなかった方の中にも素晴らしい作品が多くありました。是非、これからも楽しんでプログラミングを続けて欲しいと願っております。

以下の受賞作品の画像をクリックすると、その作品が別タブが開きます。画面を一度クリックしてから、マウスやキーボードで操作して下さい。スマホのタッチには対応していない場合がありますので、必ずPCでご覧下さい。Processingで制作されたコードは、processing.jsライブラリでWebページ上で動くように変換しております。


【優秀賞(ゴールド)】

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作者のコメント:ある意味異色を放つこの作品で賞を頂けたことを困惑しつつも嬉しく思います。この作品は当初、ハイジのブランコの様にする予定でしたが、トラブルもあり中止となりました。しかし、今回の作品はそのトラブルを逆手に取って作成したものなので、何事も思考の転換が大事だと深く感じました。先生には多くのことをお手伝い頂きましたので、その事に感謝しつつ今後も精進していきたいです。(H.M.)


【優秀賞(ゴールド)】

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作者のコメント:この度はこのような素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。プログラミングコンテストでの受賞は、入学前から憧れていましたので、とても嬉しく思います。今回のテーマ「しなやか」は、アイデアを考えることも、それを形にすることも難しく、試行錯誤の繰り返しでした。自然な髪の毛の動きを作る事、スイッチのON/OFFで動きを切り替えるようにした事が特に一生懸命に取り組んだ点です。初めはわからない事も多く大変でしたが、自分のイメージ通りに完成した時は達成感がありました。他の学生の作品にも、自分では思いつかなかったアイデアや工夫が多く見られたので、周りから良い影響を受けつつ、今後も努力を怠ることなく精進していきます。(E.A.)


【優秀賞(シルバー)】

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作者のコメント:今回のテーマ「しなやか」からプリンの動きをイメージし、この作品を作りました。プリンの微妙に揺れる動きにこだわり、速度を調整するのが難しかったです。自分の思い通りに動かすのはとても大変でしたが、作品が完成した時は達成感があり、やりがいを感じられました。プログラミングは初めてでしたが、授業で基礎から丁寧に教えていただいたので理解することができました。今後、より良い作品が作れるようにプログラミングの勉強を頑張りたいと思います。(N.K.)


【優秀賞(シルバー)】

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作者のコメント:プログラミングは初心者だったので、何から始めたら良いかわからず試行錯誤しながらこの作品を作りました。ですから優秀賞に選ばれて、すごく嬉しく思っています。ありがとうございます。今回のテーマは”しなやか”ということだったので金魚が泳いでいる時のヒレや水の流れを動かすことによりしなやかさを表現しました。自分のイメージでは金魚がマウスに向かって泳いできたり、尻尾を泳いでいるかのように滑らかに動かしたかったのですが今の私にはできませんでした。ですからこれからの授業で多くのことを学び、自分のイメージしたものを実現できるように頑張りたいと思います。(M.K.)


 3月10日、11日に開催された情報処理学会グループウェアとネットワークサービス研究会で、社会情報学部デザイン専攻市村ゼミ4年の小田川保奈美さんと篠塚咲良さんの共同研究が優秀発表賞を受賞しました。発表者には賞状が贈呈される他、研究会ホームページ http://www.ipsj.or.jp/sig/gw/ に掲載されます。

賞名:グループウェアとネットワークサービス研究会優秀発表賞
発表題目:migaco:歯ブラシ動作計測機能による幼児対象歯みがき支援

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migacoの動作テスト(左:小田川保奈美さん 右:篠塚咲良さん)

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歯ブラシと連動してスマートフォンの画面に回数がアニメーションとともに表示される

田丸ゼミでは、平成28年8月8日(月)法政大学理工学部の平野研究室との 合同ゼミを法大市ヶ谷キャンパスのボアソナードタワーのゼミ室で開催しました。

参加者は当ゼミから卒論生が5名、法大が卒論生9名、M1生2名などでした。 お互いに4年生の卒論と、修士1年生の修論の中間発表を実施しました。

まず、当方のゼミ5名のプレゼンに続き、法大生11名の学生が、 質疑応答を含め各人7分間程度の発表を行いました。

その後、会場を最上階に近い25階の部屋に移し、 軽食を食べながら懇談。本学千代田キャンパスが足元に見られ、眺めは最高でした。

この合同ゼミでは、学生達はお互いに刺激し合い、研究成果の向上につながればと思い、 今後も継続する予定。次回は来年1月頃の実施予定です。

当ゼミのプレゼン題目

R.I. ARアプリの画像認識
T.O. 二輪ロボットの走行
A.J. 複数エレベータの最適スケジューリング
A.T. 応答時間テストによる評価
M.Y. POS端末インタフェース

 

田丸ゼミの卒業研究をもう1件ご紹介します。

VisualBasic言語を用いて自動車の渋滞シミュレーションを行いました。 セルオートマトンの原理に基づき前に空きスペースがあれば走行でき、無い場合は停止するという簡単なルールを用いています。一方通行路と、途中1箇所に交差点がある道路の2種について検討しました。

図1は交差点がある場合のプログラム実行途中の表示画面です。2本の直交道路の左端および上端からランダムに自動車が発生し、右方および下方に黒丸(自動車)が移動します。画面では渋滞が13回発生したことが示されています。


図1 プログラム実行途中の表示画面

図2は交差点道路の観測時間と渋滞回数の関係のグラフです。パラメータとして、自動車の発生頻度を40,50,60% としています。


図2 渋滞回数のグラフ

ゼミのホームページで他にも卒業研究の紹介をしています。こちらをご覧下さい。

田丸ゼミの卒業研究をご紹介します。

LEGO社のMindstormsロボット用カラーセンサ2種に関して、 センサとカラー対象物との距離、角度、周囲光などに対するカラー認識特性を測定し、 相互に比較しました。さらにこれらをロボットに搭載し、 ライントレースの走行制御を行い、走行特性などを測定しました。

図1は標準カラーの認識特性(角度の変化に対する)の測定に関して分度器を用いて センサの角度を調整している様子です。


図1 角度変化に対する特性測定

図2はカラーセンサによる走行特性を測定するときのロボット外観写真(ロボット先端にカラーセンサが設置されている)です。


図2 走行テストに使用したロボット

このように、田丸ゼミでは研究テーマとして「予測」や「推定」を取り上げ、それらに関する問題をプログラミングによるシミュレーションあるいは実験により検証しています。

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報告者: 青木友花(情報デザイン専攻/松田ゼミ)

松田ゼミに所属するゼミ生(青木)は、卒業研究として「ウェブ視聴履歴に基づくウェブサイトの類似性に関する研究」を行い、卒業論文として提出ました。今回はその締めくくりとして、2月27日、東京タワーの麓の機械振興会館で開催された電子情報通信学会の情報・システムソサエティが主催するソフトウェアインタプライズモデリング研究会で発表してきましたので報告します。発表資料は、ここを参照ください。

研究会に関して

ソフトウェアインタプライズ研究会は、インターネットとエンタープライズを足し合わせた造語で、インターネット上でのエンタープライズ型のWebベースアプリケーションやソフトウェア、そのビジネスモデルに関する研究を行っている企業や大学の研究者が集まり、発表、議論を行う研究会です。

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発表内容

本研究はソネット株式会社の竹内彰一シニアリサーチフェローのご協力のもと、ソネットメディアワークス社が保有する「ユーザがどのウェブサイトを何回見たか(ウェブ視聴履歴と呼びます)」というデータを用い、そこから全体のユーザを代表するユーザを約2万人選び出し、それぞれのユーザが2084個のサイトに対して1ヶ月間に何回アクセスしたかという情報、すなわち「ユーザのアクセス行動」から見たサイト間の類似性を2種類の統計手法で評価したものです。ここで用いたあるユーザのアクセス行動とは、例えば、あるユーザがその1ヶ月の間にサイトAを830回、サイトBに2015回、サイトCを326回見た場合には、そのユーザのIDと830、2015、326という回数だけを扱うもので、サイトA、B、Cが具体的にどのような内容のサイトであるかという情報は含まれません。

研究の結果、あるサイトにアクセスしたユーザが次にどのようなサイトをアクセスするかを予測できる可能性があることを確認でき、また、今回用いたアクセス行動履歴のデータにはサイトの内容に関する情報を含んでいないにも関わらず、それを用いて計算した結果得られた類似サイトの内容を実際に調べてみると、以下の図に示すような「内容の類似性」があることが分かり、行動との関係性を見出すことができました。

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発表に関して

研究会当日は、日本IBMの方の特別講演で始まり、口頭発表が全部で7件ありました。参加者は30名弱で、ほとんどが企業の方でした。発表時間は20 分、質問時間が5分でした。初めての学会発表であり、また、20分もの発表をしたことがなかったので、うまく話せるか不安でしたが、発表前に竹内さん、松田先生に何回も練習しいただけたので落ち着いて話すことができました。発表後、3人の企業の方から質問をいただいたのですが、うまく答えることができず(松田先生に助けていただきました)質問という場の重要性をあらためて感じました。

coauthor

終わりに

3年生の後半から本研究を始め、就活などで一時期大変な時期もありましたが、なんとか学会発表までこぎつけました。終わってみると一般企業の研究者の前で発表するという大変よい経験ができたと思いました。今回の卒業研究は、ソネット株式会社の竹内シニアリサーチフェローのご厚意とご協力で実現しました。このような場を持たせていただけたことに大変感謝し、ここに厚く御礼申し上げます。今後は、この経験を社会で活かして頑張っていきたいと思います。

 

 

藤村ゼミの卒業研究をもう一件紹介します。この作品は、マイコンボードArduinoと音情報を取得するための音センサ、そしてELワイヤーという光るワイヤーを用いて、音楽に即時に反応し光るコスチュームです。本作品ではマイクから取得した音声をFHTライブラリによりスペクトル分析を行い5つの音域の強度に変換し、下図のように音域毎に対応するELワイヤーを音の強度に応じて点灯させています。

一定時間の音の強度の平均値に基づき、反応する音のしきい値を自動的に調整するオートゲインコントロール機能を実装しているため、静かな場所でも、大音量のライブ会場でも適切に光らせることが可能です。また、PCは不要でArduino単体で実装されているため、低コストで実現できます。

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藤村ゼミではこのようなコンピュータ技術と手芸を組み合わせたテクノ手芸やメディアアートの制作を行なっています。

藤村ゼミの「TwitterとLeap Motionによるジェネラティブ・ミュージックの制作」という卒業研究を紹介します。この研究は、LEAP Motionと呼ぶセンサによって取得した手の動きと、Twitterからのつぶやきをリアルタイムに取得し、この2つの情報を元に、インタラクティブに音楽を生成するメディアアート作品です。まずは、以下の動画をご覧下さい。

この作品では、Twitterアカウント所持者がつぶやいたタイムラインの中から特定のキーワード(今作品ではおはよう)が含まれるツイートを10秒ごとに20件取得し、そのツイートのテキストによってドラム音が生成します。そして、Leap MotionはLeap Motion演奏者の手の座標、ジェスチャーを1秒に最大60回送信し、送信された情報から、メロディが鳴り、手の座標によりそのメロディにエフェクトを適用します。本作品の全体構造を下の図に示します。Twitterから生成される音楽とLeap Motionから再生される音楽が合わさることで本作品のジェネラティブ・ミュージックを生成するようにしました。尚、実装はTwitter APIの部分に一部PHPを使用しましたが、大部分はJavaScriptで開発しております。

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本作品のオリジナリティはLeap Motionの演奏者一人だけではなく、Twitterのアカウントを所持している全ての人々が本作品のジェネラティブ・ミュージックに参加できるという点です。つまり、Leap Motionで演奏者、Twitterの利用者のどちらが欠けていたら完成しない、新感覚の複数人参加型のジェネラティブ・ミュージックとして制作しました。

藤村ゼミではWebサイトの構築技術やメディアアートの制作等をテーマとして取り組んでいます。藤村ゼミのH26年度の卒研テーマの一覧はこちらをご覧下さい。

卒業研究は、授業で学んできた「知識」を、実際の問題に応用することで使える「技術」に昇華させる重要な学びのステップです。今日は卒業研究の実例として、藤村ゼミのH25年度の二人の学生の卒業研究を紹介します。

一つ目の卒業研究は「三軸加速度センサによるジェネラティブミュージックの制作」というもので、手袋に縫い込まれた三軸加速度センサから手の動きのデータを取得し、インタラクティブに映像と音楽を生成するメディアアートの制作です。

この作品では、15個の音をランダムな順番で音量や長さを変化させながら再生する、といった複数のルールをアルゴリズム化して音楽を合成しました。また、三軸加速度センサの値を音楽と映像に反映させ、人間の動作がリアルタイムに作品に反映されるようにしています。制作にはProcessingとArduinoを使用しました。三軸加速度センサを組み込んだArduinoをUSBケーブルでPCと接続し、計測データをProcessingで受信し、受信した値を使って音楽とアニメーションを生成するようにしました。

この作品は「作品を創るプロセス」そのものが作品であり、作り手の意志と受け手の意志の両方のインタラクションによって作品が完結します。

二つ目の卒業研究は「Processingによる遠隔通信モーションキャプチャ技術の開発」というもので、先程の例と同様に三軸加速度センサの値を活用しますが、こちらは、Arduinoではなく、スマートフォンAndroidに備えられている加速度センサを活用しています。こちらは、スマートフォンベースなので、アプリさえインストールすれば誰でも簡単に参加できるようにすることを狙っています。

Android端末側のアプリはProcessingのAndroidモードを使って制作しました。そして、Android端末からネットワークを介して送信される加速度センサの値を受け取ってリアルタイムに画像を生成するサーバ側のプログラムもProcessingを使って開発しました。この研究では、端末とサーバとの間の汎用的な通信プロトコルの設計に重点を置いていますのでアート作品としてはシンプルなものとしています。また、こちらの作品では、以下の映像のように、複数端末の動きを同時に取得して映像を作るサンプルも制作しました。

藤村ゼミではこのような参加型のメディアアートの制作を一つのテーマとして取り組んでいます。藤村ゼミのH25年度の卒研テーマの一覧はこちらをご覧下さい。