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報告者:河崎真実

卒業研究として行った「VibMap:振動情報を用いた道案内システムの開発と評価」を、3月7日にオンラインで開催された第82回情報処理学会全国大会で発表しましたので報告いたします。論文はここをクリックしてください。

1 情報処理学会に関して

情報処理全般に渡る分野の調査・研究を目的とした学会で、全国大会は情報処理学会が年1回(春季)開催する学会最大のイベントです。大会では最新の学術・技術動向や情報に関する新しい研究成果やアイディア発表を通し意見交換・交流が行われます。今回は新型ウィルスのためオンライン開催となりました

河崎 河崎2

2 発表内容

近年スマートフォンの普及に伴いナビゲーションアプリを利用する人が増加しています。しかし、従来のナビゲーションシステムは画面や音声を用いた道案内のため、視界を遮ってしまったり、周囲の音(自転車など)が聞き取りづらいという問題点があり、歩きながら使用するには危険です。そしてこれらの問題は、「歩きスマホ」として社会問題となっています。そこで、本研究ではこの問題点を解決するために触覚情報に着目し、バイブレーションを用いたナビゲーションアプリの開発と評価を行いました。

はじめに、ユーザは同じ目的地を設定したスマートフォン2台を左右の手にそれぞれ持ちます(今回はスマートウォッチを想定し、左手のみバンドで固定して使用しました)

その後ユーザは、バイブレーションでの指示に従い目的地を目指して歩きます。バイブレーションでの指示というのは、右手のスマホが振動したら右方向、左手のスマホが振動したら左方向に曲がるというものです。また、さらに細かな進行方向は振動回数を用いて表現しました。

河崎方向図

実験は20名の女子大学生を対象に5名ずつの4グループに分けて、VibMapと既存システム(画面:Google Maps、音声:VibMapの振動部分を音声案内に変えたもの)の2つをそれぞれ用いて指定のルートを歩いてもらう実験を行いました。また、実験後にはアンケートを行い、5段階で評価しました。

  • 目的地到着までの平均所要時間: 既存システム(画面・音声案内)とVibMapでT検定的に差があまりないことが分かりました。画面が最も長く時間がかかったのは、地図を読むのが苦手な被験者がいたためであると考えられます。(20名中2名、10:23と10:32)
  • 画面を見ながら歩いた時間: VibMapと音声案内の差が0秒であり、平均所要時間でも差があまりなかったことから、VibMapは音声案内と同程度の性能であることが分かりました。
  • 安全性:画面や音に頼らずに歩けるため、VibMapは既存システムよりも安全に歩けそうであることが分かりました。
  • 歩きやすさ:地図を見ず、直感的に歩けるためにVibMapは既存システムよりも歩きやすいということが分かりました。

方向指示のわかりやすさ:VibMapの方向指示のわかりやすさは4.4点と評価が高かったが、既存システムよりも大きくわかりやすいということはないということが分かりました。これは、振動した方向に曲がればよいだけなのでわかりやすい一方で、振動回数を気にする手間や、狭い範囲に複数の指示がある場合に立て続けに指示があり、被験者が混乱してしまったためであると考えられます。また、どの道が斜めの道なのかが分かりづらい、といった意見もありました。

3 発表に関して

全国大会当日は、大会3日目の午前に発表を行いました。発表後には、「3分岐あった場合どの程度指示内容がわかるのか?」、「道に迷った場合の指示はどうするのか」などの質問をいただきました。

4. 終わりに

発表は緊張しましたが、無事に練習通り発表することができました。また、今回の大会はコロナウイルスの影響で現地開催が中止となり、急遽オンラインでの発表となりましたが、とてもいい経験となりました。今回の経験を、今後に生かしていきたいと思います。

 

 

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