情報デザイン専攻2年生の必修科目「クリエイティブ思考法」の第2回目(4月22日)は、今年度も筑波大学システム情報系から三谷 純准教授をお迎えして、伸縮の無い平板素材を折ることによるモノ作りとしての折り紙について、『折り紙における創造性』というタイトルで講演していただきました。

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『古くから日本に伝わる「折紙」は、私たちの多くが幼少のころに体験し、親しんでいるものです。一方で、最近では折紙に関する数理的な側面からの研究が進み、従来の折紙とは一線を画するような作品が登場するようになりました。とくにコンピュータを使った設計支援の技術の進歩は目覚ましく、曲線・曲面を含む折紙の設計も可能になりました。』という三谷先生の前置き説明に、学生は興味と驚きを同時に感じたようでした。

講義では、折紙の形が折り線の配置によって規定されることを主題に、折り線の配置に関する法則や、折り線の設計方法の解説の後、三谷先生が開発したソフトウェアのデモンストレーションや制作風景の動画などを通して、折紙設計の実際を知ることができました。

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また、蛇腹折りと中わり折りを組み合わせた簡単な折りや、曲線をもつ「花型」の折り紙も体験しました。このような工夫に富んだ講義を通じて、受講生は従来の「折紙」の固定概念から離れ、折りの新しい可能性を感じてもらえたことと思います。

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以下は、講演後の受講学生の感想から抜粋したものです。

たった1枚の伸縮しないただの紙だったものが、躍動的に表現力をもった立体へと華麗に変化していく様にとっても驚きを感じました。小さいころに遊びで折り紙をした時に、1つ1つ工程を終えて完成へと近づいていく時のワクワクした気持ちを思い出し、懐かしくもなりました。また、コンピュータを用いることで広がるクリエイティブな活動の可能性を感じました。コンピュータといえば計算力を活かしたシステム系のイメージが強くありましたが、このようなデザインの分野での技術を知ることができ、改めて情報デザインに興味を持ちました。今、学んでいる科目やこれから学ぶことができる情報系の科目を、より懸命に取り組んでいきたいと思いました。【Y.K.】

コンピュータを使って設計しながら様々な折り紙の研究をしている方が世界に数多くいらっしゃると聞き、正直驚きました。折り紙がなぜ情報系と関係性があるのか、講義を聴くまでは疑問でしかありませんでした。しかし、コンピュータを使って作りたいモノや形を設計したり、数学的・工学的な面から折り線の配置や曲面の作り方などを研究されているとのことで、とても面白いと思いました。また、デパートの展示品やPVの背景、服のデザインなどにも折り紙の技術が取り入れられていて、「折り紙」というものはとても幅広い可能性を持つものだと感じました。昔ながら遊びの1つとしか今までは考えていませんでしたが、今日の講義を聞いたことで、私の中で折り紙の考え方が変わりました。【M.O.】

今回、三谷先生から教えていただいたことは“大人の折り紙”。折り紙は子供がする遊びという考えを覆すものでした。大人が大人の頭脳をフルに使って折り紙をすると、ぞの1枚の紙が限りない可能性を生み出すことができるという。その可能性はとても大きなもので、世界にも影響をあたえたという事実がとても嬉しく、日本人としての誇りを感じることができました。【M.H.】

折り紙は昔からある平面的なものであると思っていたので、折り紙と現代的なグラフィックデザインやPCとの組み合わせはすごく意外だと思いましたが、講義を聞いて今や折り紙はただの遊びではなく、最先端技術の開発にも大きく関わっていると知りました。【M.T.】

蛇腹折りや、曲線をもつ折り紙を体験した時の感覚が、数学を勉強している時やプログラミングを勉強している時と少し似ていることに気が付きました。完成をイメージしながら作る立体的で曲線の多い折り紙を折る作業は、子供の頃のようなワクワク感を思い出す一方で、大学で学んだプログラミングなどの情景も脳裏に浮かび、懐かしいようなそうでないような不思議な気持ちになりました。【H.A.】

情報デザイン専攻2年生の必修科目「クリエイティブ思考法」の第2回目(4月23日)は、筑波大学システム情報系から三谷 純准教授をお迎えして、『折り紙における創造性』というタイトルで講演していただきました。

伸縮のない平板素材を折り上げるだけで形を作っていく折り紙は、非常に創造的な思考を必要とするモノ作りですが、三谷先生はコンピュータによるプログラミングを駆使した、伝承折り紙とはまた異なった独自の折り紙の世界をご紹介くださいました。
 
講義の様子
講義の様子
 
講演の最中、学生は1枚の紙を渡され、蛇腹折りと中わり折りを組み合わせて平面を立体化する作業に取り組んだり(図1)、三谷先生の作品の折り紙展開図をいただいて美しい球形を作成したり(図2)と、実際に体験する中でコンピュータが作った曲面も含む新しい折りの世界を理解したようでした。
 
図1 体験した折り
図1 体験した折り 蛇腹折りと中わり折りの組み合わせ
(三谷先生講義資料より)
 
図2 体験した折り
図2 体験した折り 球状折り紙の一例
(三谷先生講義資料より)
 
以下は、講演後の受講学生の感想から抜粋したものです。
 
折り紙は伸縮性のない平面を素材とする、というような制限があっても、何らかのパターン(法則)を見つけて、それに“なにかに応用できないか”と考えることはとても大事で意味のあることと思ったし、この“考える”という行動は、新しいものが生まれるときに必要不可欠な努力だと改めて思った。【M.N.】
 
今日の講義を聴いて、まず折り紙の奥の深さに驚きました。既存の折り方にとらわれず、自分でイメージしたモノを作るということに心を動かされました。山折りと谷折りのシンプルな組み合わせから、芸術的な立体ができていく過程にはとてもわくわくしました。私たちが学んでいるプログラミングは硬いイメージがあり、芸術とは遠いと存在と思っていましたが、実は相性のいい部分があるのだと感じました。【K.K.】
 
折り紙作品には数学的な規則があるということを初めて知って、興味が湧きました。授業で折った何気ない折りのモチーフも、再度拡げてみると、こんな風になっていたのかと新たに発見することばかりで、今までは完成形しか見ていなかったものを別の角度から見て考えるという経験ができてとてもよかったです。【S.S.】
 
今日のような幾何学的な立体を作り出す折り紙をみたのは初めてでした。1枚の紙で作られているとは到底思えませんでした。プログラムを組んでコンピュータに折り線の複雑な計算をしてもらうときいて、プログラミングに対して、より興味がわきました。プログラミングに関しては勝手な苦手意識がありましたが、すこし軽減された気がします。今日の講義で自分の視野が拡がったと思いました。【H.T.】
 
普段当たり前だと思っていたことなども、今回の折り紙のように深く深く考えてみると、新しい何かを(法則など)を発見できたり、そこからさらに自分の発想で新しいものを作り出せるのだと思いました。身近な何かから見つけ出してみたいなと思いました。【J.S.】
 
折り紙をデザインとして考えた時に、一枚の板や布、紙で作ることで軽量化ができたり、低コストでできたりすることもあるかもしれないと、すごく想像や夢が広がる世界だなと感じました。人は人が創り出した知識や技術を余すところなく駆使してよりよい環境を作るべきだと私は考えていますが、何かを折って何かを作るというのも、すごく未来のある環境作りの一つだと思いました。【A.S.】