卒業制作
2023年05月26日
2022年の卒業研究は「卒業制作」が多かった。「まちづくり」を中心として教育研究を行うゼミでは、社会に提案をすることを奨励する。しかも自分勝手な提案ではなく、社会の課題を掘り下げ、自分で問題解決の道を考え、空間のデザインとして提案する。
空間づくりに慣れていない場合は、模型がよい。粘土でラフな造形から図面スケッチ、図面スケッチからスタディ模型、スタディ模型から図面の仕上げへ、そしてプレゼンテーションの模型へと。そういった訓練を受けてきた私はCADの習得は基礎ができてからと思っていた。しかし、今回の卒業制作に取り組んだ学生から認識を180度変えざるを得なかった。
Cさんは建築設計の授業を受けていなかった。しかし、卒業制作を行いたいと言ってきた。まず、都市計画では定番の広域からの計画を練るために地図を使った現況図作成を指導した。色鉛筆で色塗りをしていたのは昔、今やGISである。国土地理院の簡易GISを紹介し、デジタル地理情報を入手し、レイヤーを重ねて計画づくりをしていくと教えたら、パワポでのプチレイヤー機能で作成して見せた。それは私自身も知らぬパワポの使い方だった。そしてさらに驚いたのはCADで見事に空間デザインまで進み、卒業制作を完遂したことだ。
今や、学生にはフリーに提供されるCADソフトで、ある程度の3Dを描くことができる。彼女は2ヶ月足らずでマスターした。もちろん、試行錯誤にいじりながら、そして操作の壁にぶつかると、インターネット上で検索すると対処の仕方の案内が出てくるので、コロナ禍の自宅でコツコツ工夫を重ねたようだ。そこに現代のデジタルツール活用の器用仕事(ブリコラージュ)作業を感じた。そしてそのノウハウを友人たちにまた伝えている。これこそがゼミらしい活動だ。
今やCADは実際の実務の中心である。情報という名のつく学部であるので、手描きの基礎ができてからという発想を捨てて、CADやGISに強いという特色をつくった方が、有利に働くのではないかと、教えられたような卒業制作であった。また、発表をキャラクターの声に吹き替えてのアニメ含めたパワーポイント動画にしたのもその類である。ロビーに模型と同時にディスプレーを借りて、そんなデジタルの作品も展示させていただいた。社会情報学部、環境情報学専攻と情報の名のつく専門らしいアウトプットに学生同士刺激しあい磨いていくことに本学部の発展させていく方向があるのではないだろうか。

発表会の後の2022年12月18日から23日の期間