江戸東京たてもの園に出かけました!
2011年05月21日
-百聞は一見に如かず-
住宅や住環境について勉強している3つのゼミ(環境デザイン系科目を担当している谷口・白澤・松本の3ゼミ)が合同で、江戸東京たてもの園(http://www.tatemonoen.jp/)を見学しました。
江戸東京たてもの園は、1993年(平成5年)3月28日に開園した野外博物館です。都立小金井公園の中にあり、敷地面積は約7ヘクタール、園内には江戸時代から昭和初期までの、27棟の復元建造物が並んでいます(現在、移築工事中の2棟が増えるとのこと。工事中の様子も興味深いものでした)。
住居学の講義で触れた大正・昭和初期に建築された住宅などを中心に、農家や昭和初期の3軒の小住宅、看板建築などを見て回り、ボランティアのスタッフの方からの説明を受けました。入園してすぐに目につくのが、日本の近代建築家 前川國男の自邸です。戦時下の昭和17年に建築されたものですが、シンプルで居心地のよさを感じさせる小住宅です。


その隣の小出邸は、ヨーロッパのデザインを勉強して日本に紹介した建築家 堀口捨己の設計した住宅です。オランダの建築デザインの影響を受けて帰国し、日本の伝統的なデザインと調和させようとしています。玄関まわりや縁側の格子が、新鮮でおしゃれです。氷を入れて使う冷蔵庫、手巻き式の洗濯脱水機や、しゃがんではいるお風呂、壁掛け式の固定電話など、ひとつひとつにびっくりしたり、感心したり。



松本ゼミで読んだ『住まいを読む―現代日本住居論』(鈴木成文著 建築資料研究社)に取り上げられた住宅や住まいのなかの「実物」を見ることができました。日本の住まいの近代化の過程の一端を見て、今後のゼミで現代の住宅やそこでの暮らしを見直すための基礎となると思います。


日本の伝統的な住宅が、日本の気候風土や日本人の暮らしに合わせて、開口部;窓や縁側の大きいことや、軒や庇の大切さ、農家の土間や囲炉裏などを作ってきたことを実感できたのではないでしょうか。エアコンなしでも涼しく暮らす知恵や、ゆったりとした和室の広がりなど、現代住宅にはない良さを知り、自然環境に負荷をかけない住宅デザインや住まい方を研究していくための第一歩としての見学でした。
農家の室内や土間での台所、2.26事件の現場となった高橋是清の寝室、千と千尋の神隠しのモデルとも言われる子宝湯など、足を踏み入れるだけでも出かけた甲斐はあるというもの。童心に戻って、竹馬で遊んで、都電の車内で一服。
最後に、見学の感想を話し合って、天明家の住宅(農家)の前で集合写真をパチリ。現地解散。
- 昭和初期の住宅は、おしゃれで住んでみたくなった。
- 農家のなかで、囲炉裏(いろり)を焚いているのは、茅葺きの屋根をいぶして守るのだと聞いた。
- 囲炉裏を焚いているのに、農家のなかは本当に涼しかった。
- レトロで懐かしい感じがステキ。
- 図面や写真で見たものを、実際に見ることができておもしろかった。
- 畳の広~い部屋や縁側で、ぼんやりしてしまいました。
………などなど。感想は続きます。
真夏を思わせるような一日でしたが、当時の住宅のなかに実際に座って得た感覚は大切なものとなったと思います。こうした「実感」をベースに、それぞれのゼミで自然環境と共生した住宅デザインや現代住宅での住まい方、住宅での居住性などの研究に活かしていきます(松本)。
