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佐藤洋一ゼミナール

卒業論文で海外マーケティングを研究する

2012年12月19日

はじめまして、佐藤ゼミのM.Sです。

今回の「気になるゼミ」では、卒業論文について紹介します。卒業論文はゼミナールと同様必修科目で、ゼミの先生から指導を受けて執筆します。佐藤ゼミでは、3年の冬頃から卒業論文のテーマを考え始めます。3月の春合宿で大まかな章立てを発表し、4年の4月頃からは各々で参考文献を探しながら論文の下書きを書き始めます。月に1回程度集まって中間発表をし、10月までには第1次原稿を仕上げます。

私の卒業論文のテーマは、日本酒の海外マーケティングです。4年間習ったことの集大成としてそのことをテーマに取り上げて書こうと思いました。

卒業論文を仕上げるまでには、やるべきことがいくつもありました。
第一に、資料や文献の収集です。インターネットを使用し海外で日本酒を製造している方のHPも参考にしましたが、主な参考資料は本でした。とりあえずインターネットで本を探し、図書館などへ借りに行ったりしましたが、やはり専門書となると地元の図書館は品揃えが悪くあまり置いていないので都内の図書館に入り浸り本を探しました。今まで日本酒は主に国内で売られていたため、新規マーケットとして海外をテーマに取り上げた文献や参考となる企業も少なく、データをとるのがものすごく大変でした。

第二に、自分が卒業論文で主張したいことを明確化することです。私は、日本酒単体で売るということは、海外の消費者はなかなか手を出しづらい部分があると思い、ヘルシーで美味しいと評判の高い日本食とセットで売り込めばいいのではないかと考えました。そして日本酒の海外進出に論点を絞り込んでいきました。直接中国にも出向きました。通訳の商社の方と同行して、たくさんのことを聞いてきました。3・11以降日本からの輸入が減ってきており、海外への進出も危うくなってきていることを目の当たりにしました。また、酒税の問題もあります。中国に輸出するときのビールは関税0%なのに対して、日本酒は53.6%とかなり高いのです。そのため、コストを削減し低価格で売ろうとする企業が増えており、アルコール添加が行われています。そうでもしないと、割高の日本酒はビールやワインに勝てないと考えている様子です。これでは肝心の味は二の次になってしまいます。米と水だけで造った本物の日本酒の素晴らしさを消費者がよく理解し、自らの選択眼を持つようになれば日本酒はもっとたくさんの消費者に愛されると思います。

第三に、自分の主張を理論的に裏づけることです。そのためには、ゼミだけではなく、他の授業で学んだことも利用します。企業論や社会政策やマーケティングなどの経済学の授業では、貨幣の流れ方や需要と供給のバランスで成り立っていることなど様々なことを詳しく学びました。今までは若者にターゲットを絞りマーケティングを行っていた日本ですが、高齢化社会になり高齢者市場に向けて展開もしなくてはいけないような時代になってきました。社会や経済がどのような状態であるかを見極め、これからの高齢化社会を上手に機能させていくことが求められています。真面目に卒業論文を行うことによって最終的に論理的な思考も身に付くので一石二鳥だと思いました。

このように、卒業論文を書くということは大学に入って4年間どのような勉強してきたかをまとめるものです。そもそも卒業論文を書くということは、そのテーマに向かって自分自身が再度原点に戻ってそのテーマを確認することでもあると思います。そのテーマがはっきりしていないと、何をどう書けばいいのかも見えてこないし絶対に途中で行き詰ってしまうので、佐藤ゼミで卒論を書く人は気をつけてくださいね。

私は、今年から日本酒造りのお手伝いをしていますが、搾ったばかりのお酒は金色で、荒々しくも新鮮、そしてお酒本来の旨味や香りが口の中を刺激することを知りました。本物の日本酒を飲んで好きになって欲しいという気持ちが、卒業論文の文章には込められています。