小学校におけるコンピュータ教育の実態と課題

 

≪研究目的≫

 全国に約39,000校ある小・中・高等学校・特殊教育諸学校すべてに、平等なコンピュータ環境が整っておらず、また、パソコンが導入されても、それを操作・指導できる教員がいなくては、活用できないという現状がある。そのような格差に注目し、教員がコンピュータ教育に対して、どのように考えているかを明らかにしたい。また、教育の情報化に伴い、これからの学校教育がどのようにあるべきかを考察していく。

 

≪研究方法≫

 さまざまな文献を参考にし、学校教育におけるメディアの関わりとコンピュータの必要性を考える。また、小学校の教員を対象に、「教員のコンピュータ教育に対する意識調査」を実施し(サンプル数42)、集計、分析を行う。

 

≪研究結果≫

コンピュータの操作ができる教員が約76%、コンピュータで指導できるが約73%となっていた。研修に参加する等し数値が伸びていると考えられる。今後も多くの教員が研修に参加する意思を持っていて、向上心も見られる。年齢や性別に関係なく、コンピュータ教育利用に対し賛否両論ではあるが、しっかりとした意識を持っているということが分かった。

 

≪結論≫

IT革命により、授業の姿や学校のあり方が変化(進化)し、授業や学校の画一性・閉鎖性を打破することになる。数年のうちにパソコン環境が整い、全ての教員が、パソコン・インターネット等を活用して学習指導をできる状況になる。

 コンピュータ教育により、情報活用能力を身につけた子供たちは、今までの教育システムでは成し得なかった論理的な思考力や創造性、自己表現能力を磨くことができるだろう。しかし、他方でネットワークの普及により、自ら体験することや人と触れ合うことが不足してしまう。そこで、「総合的学習の時間」での体験がコンピュータ教育によって欠落してしまう部分を補うことができるだろう。そして、それらの体験をするときに、家庭や地域社会との連携が必要となってくるのだ。教育は、今や、個々の教育機関の中だけで行われるのではなく、開かれた世界の中で協調して行われる方向に進んでいる。