バーチャル空間における物体配置が実空間での整頓作業に与える影響
片付け行動の開始や継続を妨げる主要な要因として、片付け完了後の状態を具体的にイメージできないという点が挙げられる。本研究では、この問題意識に基づき、3Dバーチャル空間上でユーザー自身が理想の部屋を能動的に設計し、体験できる片付け支援システムを提案した。
本システムの有効性を検証するため、事前アンケート(T0)、システム使用後アンケート(T1)、実際の片付けタスク後アンケート(T2)、およびフォローアップ調査(T3)からなる実験を実施した。評価においては、片付けに対する意欲、自己効力感、ゴールイメージ明瞭度の変化といった心理的指標に加え、作業時間、片付け量、整頓状態、片付け達成度といった行動指標を用い、実際の片付け行動への影響を多面的に分析した。
実験の結果、バーチャル空間で理想の部屋を設計する体験が、片付け後のゴールイメージ形成を促進し、片付け行動に対する意欲や自己効力感の向上に寄与することが示唆された。また、操作ログおよび片付けタスクの分析から、片付け行動には「計画型」と「調整型」という異なる行動特性が存在することが明らかとなった。本システムは、これらの特性に対し、実際の行動に先立ってゴールイメージを具体化する支援として機能し得ると結論付けられる。