レジャー施設での体験振り返りを支援するデジタルログシステム


本研究ではレジャー施設における体験をより楽しく,かつ具体的に振り返ることを支援するデジタル手法を提案する.レジャー施設での体験は写真や動画として記録されることが多いが,それらは体験の一部を切り取ったものであり,当日の行動全体の流れや文脈を振り返ることは容易ではない.特に訪問順や滞在時間といった行動履歴は体験を構成する重要な要素であるにも関わらず,十分に活用されていない.
そこで本研究では,レジャー施設滞在中に取得したGPSログを用い,移動経路,滞在時間,訪問順といった行動履歴を地図上に可視化し,さらに撮影した写真を統合して表示する体験振り返り支援システムを構築した.GPSログ取得のためにスマートフォン向けアプリケーションを実装し,利用者の負担を最小限に抑えた記録方式を採用した.可視化アプリケーションでは,移動経路表示,滞在時間に応じたヒートマップ表現,訪問順リスト,滞在時間ランキング,利用者が撮影した写真追加機能などを実装した.
提案システムの有効性を検証するため,20〜50代の15名を対象に実験を実施した.実験参加者には実際にレジャー施設として東武動物公園を訪れてもらって行動を記録した後,システムを用いて当日の体験を振り返ってもらった.振り返り後には,システムの操作性,各機能の使いやすさ,体験想起への効果などについて5段階評価のアンケートおよび自由記述による評価を行った.
その結果,操作性や各機能の使いやすさに関して高い評価が得られ,行動履歴と写真を統合した可視化が体験想起を促進することが示唆された.また,個人での振り返りに加え,家族や友人との思い出共有や次回行動の計画に活用できる可能性も確認された.一方で,実験参加者が限られている点や立体構造を持つ施設における位置情報表現の課題が明らかとなった.今後は,評価対象の拡大および施設構造に応じた位置推定手法の改善を行うことで,より汎用的な体験振り返り支援の実現を目指す.