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報告者: 谷口鈴子、柳葉結花(情報デザイン専攻/松田ゼミ)

松田ゼミでは、3年生の社会情報学ゼミIで発想法の1つであるKJ法を実習します。実習では、9人いるゼミ生が2つのグループに分かれ、与えられた課題に対して、KJ法を用いて話し合うことで解決策を見つけていきます。今回の実習では、よりよい解決策を見つけ出すことよりもたくさんのアイデアを出すこと、ポイントになる点を明らかにすることを重点に置き、議論を進めました。

1. KJ法とはなにか?

KJ法とは、話し合いから集められた情報から必要なものを取り出し、関連するものを集め整理しまとめていくことでアイデアを見つけ出す発想法の1つです。KJ法では、課題に対する話し合いで出たアイデアや意見をカードなどに書き出しまとめ、似ているアイデアや意見を分類することで進めていきます。カードなどの紙を活用するところに大きな特徴があり、内容や質がまちまちな情報をまとめ、全体を把握するのに有効な技法といわれています。また、この方法は、個人の思考や会議での意見をまとめる際などに用いられ、例えば、まちづくりの分野などでも計画段階での住民意見の集約や、設計段階における関係者の意志の統一などに応用されています。今回のゼミでは、以下のようにしてKJ法を進めていきました。

  1. ブレインストーミング(以下、ブレスト)などで出されたアイデアや意見などをカードにまとめ、模造紙に貼り付けいく。
  2. カードを確認し、似たような意見同士をまとめ、グルーピングをしていく。グループごとにもタイトルをつけ、ほかのグループと関係があるものがあれば、大きな一つのグループにまとめていく。
  3.  グループを確認していき、グループごとの関係性を見つけていく。

最後は、発表資料にまとめて、ゼミ内で発表会を行いました。

2. ブレストした課題

今回、私たちがブレストした課題は「大妻女子大学、社会情報学部のホームページを見る人を増やすにはどうしたらいいか」ということです。この課題について議論するにあたり、対象者を、大学受験を控える高校3年生と、高校3年生を持つ両親に絞り、わかりやすく、見やすいホームページ(以下、HPとします)の作成案を作ることにしました。5月11日、22日の2週間にわたりゼミ生5人(瀬川、秋元、椎野、柳葉、谷口)でこの課題について話し合い(図1参照)、6月19日に発表会を行いました。

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図1 ブレストの様子

3. ブレストで出た意見(主なもの)

現在の社会情報学部のHP(図2参照)をもとにKJ法を用いてブレストした結果、問題点が、大きく分け以下の3点になることがわかりました(図3参照)。

  1. 全体的にサイトが見にくい。
    サイトは文字の多さが目につき、読もうという気が起きない。各ページへのリンクが探しにくいために見たいページに行くのに時間がかかる。
  2.  サイトの作りがシンプルすぎる。
    サイトの色が2色しかなく、全面的に白色の割合が多く、単調なサイトに感じる。似たようなイラストがいくつも使われている上に、写真の少なさが画面の見にくさに繋がっている。
  3.  社会情報学部のニュース・トピックスの情報が在学生向けと一般向けで混在している。
    例えばイベントのお知らせも学生向けなのか、一般向けなのか判断がしづらい。また、専攻ごとに分かれていないのも見づらい。

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図2.現在の社会情報学部のHP  

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図3.アイデアをポストイットに書き、グループ化、まとめた模造紙

これらの問題点に対し、リンクや、文字をまとめる、などのアイデアが出たので、画面の見やすさを高めることにしました。また、それだけでは寂しいHPになってしまうという意見が出たため、画像を多く利用するというアイデアを元に、ぱっとみただけでもわかるHP案を作成することにしました。ブレストを重ねていくうちに、大妻らしさ、そして女子大らしさを出したHPを作るのにはどうしたらよいかという課題を見つけ、話し合いを進めていきました(図4参照)。

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図4 ブレストの結果をグルーピングしたもの

4. 解決策

KJ法の結果、得られた解決策を以下に示します。図5にこれをベースにし、自分たちで作成した例を示します。

  1.  誰がHPを見に来るのか、対象者をはっきりさせる。
    サイトを見に来る対象者が誰かということを考え、構成を女子高校生向けと保護者向けに分けます。しかし女の子が見たくなるような、『かわいらしさ』は今のサイトにはありません。そして女子高生の保護者は、きっと校内のことやセキュリティー、就職率などについて気になるのではないかと考え、対象者ごとにHPを用意することにしました。
  2.  サイトのデザインの変更
    サイトの全体の配色やデザインを一新し、リンクをまとめて見やすくすることにしました。今回は情報デザインのページを例に考えました(図5参照)。サイトの基本的な色は、現在の社会情報学部の各専攻用のバナーの色から情報デザインカラーの青を基調とします。(環境は赤、生活はピンク)トップ画像は昨年度のミス大妻を使用します。昨年度のミス大妻は社会情報学部の方だったので一般の人にも知ってもらおうと思い使用しました。4枚のトップ画像は自動で変わり、学部の紹介動画も見られます。カーソルを項目の上に動かすと項目が画像に切り替わり、イメージを伝えやすくします。
  3. 社会情報学部らしさのアピール
    私たち社会情報学部情報デザイン専攻の大きなアピールポイントは、女子大の中の理系ということです。共学の大学の理系のHPは男子学生の画像が貼ってあり、構成もシンプルなものが多いですが、その中で女子大の理系のHPの可愛さはインパクトがあると思います。また、理系ということで格好よさそうと思っている高校生もいるはずなので、サイトのデザイン自体を自分で変えられる機能をつけます。これはサイトに行くとサイト側から「可愛いのいいか、格好いいのがいいか」などの質問をされ、答えによってデザインが変わり、サイトへのイメージを変えつつ、同時にテクノロジーのアピールもできます。
  4. ニュース・トピックスの移動
    ニュース・トピックスの項目のほとんどは在校生向けで、高校生は見ないと考え、ページの一番下に配置します。各トピックスを在学生や専攻ごとに分けることで見やすくすることにしました。

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図5 私たちが考えたサイトのイメージ図

5. 発表会

KJ法の結果は、ゼミ内の発表会を行い、もう1つのチームと議論をしました(図6参照)。発表会でもう1つのグループから主に以下のような質問が出ました。

  1.  対象者に保護者を入れる意味は何か?
    最近大学、特に女子大のオープンキャンパスには保護者が付き添うようになってきました。大学側でも親向けのイベントを行うなど、家族全体で子供の進路を考えています。このため、専攻ごとのページにも保護者が知りたい情報をまとめることで、保護者にもわかりやすくなるのではないかと考えました。
  2.  授業内容を写真で説明するのは難しいのでは?
    今までの授業内容は文字での説明が多く、どんな内容なのかイメージがしづらいですが、図を入れることでイメージが変わり、授業内容に興味が出るのではと考えました。
  3.  女子大は可愛いというイメージは人それぞれでは?
    女子大だからHPを可愛くすれば興味を持って見てもらえるという考え方は人それぞれです。そこで4節に記述したように自分でサイトのデザインを変えられるようにすることで、知的なイメージも伝えられるようにします。

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図6.発表会の様子

6. まとめ

今回、KJ法を行ってみて課題を多方向から客観的に見ることができました。関係のないような些細なアイデアでもたくさん紙に書いて、グループにすることで何が問題なのかということがはっきりしていきました。また、発表しあうことで自分たちからではわからない意見も聞くことができ、よりよい解決策を考えることができました。今後は複数人でなく個人でも一つの課題について効率的に個々のアイデアから全体像を導き出すことができるのではないかと思います。

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情報デザイン専攻の中野希大先生(写真)は、共同研究者の渡辺真太郎さん(首都大学東京)とともに、8月25日(火)、武蔵野美術大学で行われたADADA Japan学術大会で、「ADADA Japan 2015 研究奨励賞」(一般研究者を対象とした賞)を受賞しました。

この大会は、デジタルアート、デジタルメディア、デジタルコンテンツに関して幅広い観点から新しいアイディアを交換し、未来を議論することで日本国内のデジタルクリエーションをますます活性化させることを目指しています。今大会の発表は80件(参加者150名程度)を超え、うち一般研究者を対象とした受賞は6件でした。

受賞研究(作品発表部門)
「プロジェクションマッピング技術を用いた物理的空間に溶け込むインフォグラフィックスの開発」
中野 希大,渡辺 真太郎

受賞した研究は、プロジェクションマッピング技術を用いて、物理的空間に溶け込む情報環境としてのインフォグラフィックスの開発を目指したものです。ある環境における様々な計測データを、インタラクティブに変化するモーショングラフィックスに変換し、別の場所の空間的特性に合わせてリアルタイムに投影・配置するシステムを開発・デザインしました。屋外や遠く離れた場所の状況や、その時系列的な変化など、複雑な情報をユーザの置かれた環境において「周辺感覚的」に感じ取ることができるという利点があり、屋内(商業施設、病院など)や地下などの空間で展開することが期待されます。

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上:大会での展示の一部(木漏れ日がモチーフのモーショングラフィックが投影されている様子)
下:デザインイメージ(Cdsセルや3軸加速度センサ等とArduinoを使用し、リアルタイムでグラフィックが変化する)

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情報デザイン専攻・炭谷先生のゼミ生が、地域の犯罪予防と安全で明るく住みよい街づくりに尽力したとして、6月24日付で多摩中央警察署と多摩稲城防犯協会から感謝状が贈られました(上写真)。

これは、ゼミ生らが同防犯協会からの依頼で、多摩稲城防犯協会公式ホームページを制作したことが評価されたもの。本学OGで当時4年生だったゼミ生2人が約5カ月かけてゼロから制作したホームページを、現在のゼミ生が引き継いで、同防犯協会に代わりホームページの更新作業を行うなどの運営に携わっています。

今回の感謝状の授与を受けて、同ゼミ生4年の土屋有紗さんは「大学で学んでいるwebデザインの技術が生かせるのではと思い、ホームページ制作に取り組みました。この制作を通じて、地域の皆さんが地域の安全のためによりよい環境づくりに関わっていることを改めて実感しています。自分自身、学ぶことが多かったにも関わらず、感謝状までいただき、驚いています」と話すと、「これからは、地域の方々が自分たちでホームページの更新ができるよう、お手伝いしていきたいです」と今後の展望を語っています。

(この記事は大妻女子大学公式HPからの転載です)

8月29日の多摩オープンキャンパスにご来場いただいた皆さま、ありがとうございました!

午前中からずっと雨にもかかわらず、多くの方に来ていただきました。担当の教員からは、体験授業で熱心に聞いていただける方が多かったという報告がありました。また、学生相談でも、専攻の雰囲気や授業のことなどを積極的に質問する受験生が多かったそうです。

今回で今年度のオープンキャンパスでのプロジェクションマッピングやインタラクティブアート作品の展示は最後となりました。はじめての試みだったのですが、「大妻にこんなことができるようになる専攻があるんだ」「将来につながる新しい分野が学べるんだ」と、多くの方に知っていただける機会になったようです。制作や説明を担当した学生も、ただ作るだけではなく実際に見て体験してもらうことの大切さを実感したようです。これからも普段の様子や学生の作品をホームページを通じてご紹介していきたいと思います。


千代田校で行ったプロジェクションマッピングの様子

次回は、10月18日(日)に大妻多摩祭(学園祭)と同時開催します。
多くの学生が参加するので、いつもと違いとても賑やかな雰囲気になります。
またぜひご来場ください。