上映直前s
上映に先立ち制作意図などを説明する学生たち

 

2017年12月16日(土)に東京ビッグサイトで行われた「有明・冬フェス2017 東京国際プロジェクションマッピングアワードvol.2」。昨年に引き続き堤ゼミではゼミ活動の一環として3年生11人のチーム「アントルメ」が作品を応募。第1次選考(予選)を通過して、同アワードに唯一の女子大学チームとして出場しました。このアワードには全11チームが参加し、6,300人を超す来場者を得て大いに盛り上がりました!

「Come on ―四季の世界―」と題した作品は、季節感に富む家紋のデザインを日本の四季の情景に溶け込ませるというコンセプトで、休日返上でおよそ4カ月間かけて制作しました。日本の家紋には草花や器物などのモノ、そして生活や自然に関係があるコトなどが図案化されていて、形状や配置に関していくつかの共通特徴があります。また、ときに立体的であったりだまし絵のようであったりもします。この古のデザイナーたちが家紋にあらわした意図をくみつつ、変化に富んだ日本の四季の情景を表現できたらと考えました。色や動きでエンターテイメント性を持たせ、見ている人に分かりやすい作品を目指しました。

授業で学んできた3DCGや映像編集などのスキルを駆使しましたが、最終映像の計算に、時には実習室のPC72台を一気に使って何時間も計算することもありました。

シーンをチームで議論する
シーンをチームで議論する

レンダリング風景1s
実習室のPCすべてを使って最終映像の計算

 

start_s
①家紋の砂時計が動き始める

アイソメs
②アイソメ的だまし絵と家紋

家紋とびちり_s
③はじける和柄の家紋

唐草2s
④伸び始める蔦(春への序章)

春s
⑤春の息吹

梅鶴s
⑥梅とウグイス

夏1s
⑦初夏の光のフレア

夏2s
⑧夕暮れのまわり燈篭と花火

秋1_2s
⑨散りゆく紅葉

秋2s
⑩月とウサギとススキ

冬s
⑪降りしきる雪

last_s
⑫フィナーレ

 

上映後の懇親会で、作品の講評を審査員の方がたに伺いました。皆さんに家紋と四季という企画テーマは良かったと言っていただけました。ただ、作品に軸あるいはストーリーがなかった、盛り上げに欠けたという意見もいただきました。学生作品では、もともと技術は期待されていなく、企画力やアイデアや表現力が大切であるとも伺いました。今回も制作前にアイデアを練る時間が少なかったことは確かで、また、デザイン力なども含め学ばなければならないことは多々あると実感しました。

なお、TBSの情報番組からは事前および当日取材を受け、12月17日に放送されたTBSテレビの情報番組「『日曜Nスタ』Sunトピ」の中で、“季節感と家紋をテーマに、これをあわせる仕掛けが随所に見られた作品”として取り上げていただきました。

インタビューs
当日取材を受けるゼミ生たち

 

ともあれ、経験したからこそ得られた様々な気づきや教えを今後に生かすべく卒業研究に向かってほしいものです。長期間にわたってご苦労様でした。

最後に参加した学生の感想を記します。

パソコンの画面で動画を観るのと東京ビッグサイトの大きな壁に投影された動画を観るのとでは見え方が大きく異なる、ということを自分達で制作した動画を通じて知ることができてよかったです。(N.N.)

知識も技術もほぼゼロからのスタートで不安もありましたがメンバー達と制作している時間はそれ以上に楽しいものでした。当日、投影された自分達の作品を見て心から参加してよかったと思える良い経験になりました。(M.I.)

日々、より良い作品になっていくのを肌で感じ、お互い意見を言いながらも満足のいくものができました。なによりもチームのみんなと協力し、本気で取り組めたことは、大学生活の中で良い経験となりました。(A.M.)

今回、参加して感じたことは、チームの大切さでした。このプロジェクトには多くの技術が必要とされているのにもかかわらず最後まで乗り切ることができたのは、一重に役割を分担して協力したチームのおかげでした。(M.I.)

私にとって今回の出場は大きな挑戦でした。最初は何も分からず苦労も多々ありましたが、チームで一つの作品を作り上げる楽しさを知りました。この経験を今後就職活動や社会人生活に活かしていけたらと思います。(A.K.)

夏頃から一生懸命作ってきた作品が東京ビッグサイトという大きな建物に投影されたのが単純にとても嬉しかった。何度も何度も繰り返し見てきたはずの映像がその日はとても綺麗でかっこよく見えた。(N.T.)

去年の夏ごろからゼミのみんなで力を合わせて作ったプロジェクションマッピングが、東京ビックサイトに映し出された時は、本当に感動しました。大変なこともあるけれどやってよかったと思いました。(S.T.)

何もわからない状態で始まった制作でしたが、お互いに支え合いながら全員で一つのものを作るという大変ながらやりがいのある作業でした。ビッグサイトに映し出される自分たちの作品を見たときはとても感動しました。(H.M.)

プロジェクションマッピングの作成にあたって、知識もあまりないまま始めましたが周りの助けを借りながら作り上げることができました。作り上げた瞬間の達成感はもちろん、上映会で投影された時の感動は、言葉に表せないほどのもので、みんなで一つのものを作り上げるということは、私の中で大きな経験となりました。(M.N.)

TPMAは堤ゼミに入る前から参加したくて、参加すると決まったときはとても嬉しったです。実際に取り掛かってみるととても大変でしたが、東京ビックサイトの壁面に投影されたときに得た達成感は計り知れなかったです。(M.S.)

様々な苦労もありましたが、終わった後は今までにないほどの達成感を感じました。めったにできない体験ができたので参加できてよかったと思います。(Y.S.)

集合写真s
チーム「アントルメ」

 

詳細は大学のお知らせサイトをご覧ください。
〇大妻女子大学・お知らせ―2017年12月21日「家紋で日本の四季を表現したプロジェクションマッピングが投映 社情・堤ゼミ」
http://www.otsuma.ac.jp/news/2017/20171221161937
〇TBS web『日曜Nスタ』Sunトピ・バックナンバー
http://www.tbs.co.jp/tenki/suntopi20171217.html
〇電通報
https://dentsu-ho.com/articles/5719

本郷ゼミの学生が卒業研究で制作した問題データベース集を使って研修会が行われました。埼玉県高等学校情報教育研究会が主催し、日本教育情報学会および日本情報科教育学会が後援する「オンライン授業支援システムMoodleの活用と授業デザイン」研修会が3月16日に埼玉県立大宮高等学校で行われました。

Moodle研修会サイト

LMS(学習管理システム:Learning Management System)の世界では、海外および国内で利用される信頼性の高いオープンなLMSシステムとして、先のシステムが利用されています。また、国の政策として、初等中等教育での導入も急がれています。しかし、どのようなすばらしいシステムが導入されたとしても、そこで自由に利用できる教材の提供がなければ、その普及はおぼつかないことは、今までの経験から明らかです。

本研究室では、このような課題を解決するために、LMS上で利用できる教材や問題のデータベースの構築を行っています。データベース化された問題等があれば、容易に問題を抽出して、テストを、授業を進めながら作成し、自動採点することで、学習者の到達度を瞬時に測定することが可能となります。従来、実践が容易ではないと考えられていた、例えば、完全習得学習等のさまざまな教授手法がLMSの支援によって可能となります。

研修会では、学生が作成した多量なデータベースを紹介して、その有効性や授業での実践可能性などについて講演・実習などを行いました。研修に参加された先生方からは、LMSに対する強い関心と導入の容易さへの驚きとともに、データベースへの大きな期待が寄せられました。また、学生の研究成果の社会への貢献という意味においても意義ある研修会でした。

 

卒業研究は、授業で学んできた「知識」を、実際の問題に応用することで使える「技術」に昇華させる重要な学びのステップです。今日は卒業研究の実例として、藤村ゼミのH25年度の二人の学生の卒業研究を紹介します。

一つ目の卒業研究は「三軸加速度センサによるジェネラティブミュージックの制作」というもので、手袋に縫い込まれた三軸加速度センサから手の動きのデータを取得し、インタラクティブに映像と音楽を生成するメディアアートの制作です。

この作品では、15個の音をランダムな順番で音量や長さを変化させながら再生する、といった複数のルールをアルゴリズム化して音楽を合成しました。また、三軸加速度センサの値を音楽と映像に反映させ、人間の動作がリアルタイムに作品に反映されるようにしています。制作にはProcessingとArduinoを使用しました。三軸加速度センサを組み込んだArduinoをUSBケーブルでPCと接続し、計測データをProcessingで受信し、受信した値を使って音楽とアニメーションを生成するようにしました。

この作品は「作品を創るプロセス」そのものが作品であり、作り手の意志と受け手の意志の両方のインタラクションによって作品が完結します。

二つ目の卒業研究は「Processingによる遠隔通信モーションキャプチャ技術の開発」というもので、先程の例と同様に三軸加速度センサの値を活用しますが、こちらは、Arduinoではなく、スマートフォンAndroidに備えられている加速度センサを活用しています。こちらは、スマートフォンベースなので、アプリさえインストールすれば誰でも簡単に参加できるようにすることを狙っています。

Android端末側のアプリはProcessingのAndroidモードを使って制作しました。そして、Android端末からネットワークを介して送信される加速度センサの値を受け取ってリアルタイムに画像を生成するサーバ側のプログラムもProcessingを使って開発しました。この研究では、端末とサーバとの間の汎用的な通信プロトコルの設計に重点を置いていますのでアート作品としてはシンプルなものとしています。また、こちらの作品では、以下の映像のように、複数端末の動きを同時に取得して映像を作るサンプルも制作しました。

藤村ゼミではこのような参加型のメディアアートの制作を一つのテーマとして取り組んでいます。藤村ゼミのH25年度の卒研テーマの一覧はこちらをご覧下さい。

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【教員から】

8月30 ~31日、堤研究室は箱根でゼミ合宿を行いました。CG関連の研究を卒業研究で手掛ける学生もいることから、昼間はガラスの森美術館に行きました。折しも特別企画展として『「モザイク美の世界」ヴェネチアン・グラスと里帰りした箱根寄木細工』が開催されており、艶やか、かつ透明感のあるモザイク柄に、どのようにCGで表現できるだろうか、などと話しながら楽しく見て回りました。

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差し入れのとても大きな「大妻女子大学堤ゼミ丸(舟盛り)」に大満足の夕飯後は、なんと浴衣姿で勉強会。研究室では絶対ありえないこのシチュエーションで、日常のゼミナールからはちょっとはずれて大学での研究や就活に対する心構え、面接のポイント、如何に社会の一員として生きるかなど、結構真面目なテーマをじっくり話し合いました。こういう話し合いがもっとできればという意見もありました。その後、温泉に入ってからの親睦会は深夜26時過ぎまで続きました。帰宅を気にせずにゆっくり話し合えることがゼミ合宿の最大の利点ですね。

翌日は彫刻の森美術館で井上武吉作「マイ・スカイ・ホール<天をのぞく箱>」に己の現在を投射して解散しました。後期もしっかり勉強しましょう。(堤)

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【学生から】

いくつもの美術館で多種多様な芸術に触れることができて、卒論のテーマ探しにもなりました。大学の友達との初めての旅行で、普段見られない友人の側面も知ることができて、とても充実していました。(C.A.)

普段なかなか「CGではどう作ったらいいのか」とか「どんなパーツで作ったらいいのか」等を考えて芸術鑑賞をすることがなかったので今回の美術館訪問は新鮮で勉強になりました。また、親睦会では、このメンバーと一緒のゼミで良かったと感じられるほど距離を縮めることができました。とても有意義な時間だったと思います。(H.F.)

ゼミ合宿ではゼミ生と先生が仲良く楽しく勉強することができました。大学入学後はあまり合宿がありませんでしたが、高校生に戻った気分で大学生活の良い思い出になりました。合宿を通してゼミ生と先生との仲もますます深まって合宿をしてよかったと思いました。(M.I.)

今まで経験したことがない良い体験でした。大学生になると大人数で行動するということがなくなり、それぞれが行動することが多くなる中で、ゼミという集まりで行動することはなかなかできない体験で楽しかったです。(M.O.)

大学生活を一緒に過ごす友人たちとの合宿は、とても充実したものでした。私はCG関連のテーマを卒研でやりたかったので美術館めぐりは参考になりました。(L.O.)

和気あいあいとした修学旅行のようなゼミ合宿でした。美術館では感性を磨き、大涌谷ではみんなで黒たまごを食べ、旅館では巨大なお造りが登場し、学生全員で大浴場ではしゃいで、本当に楽しい2日間を過ごせました。(H.T.)

講演中の花村理事長情報デザイン専攻1年生の必修科目「情報デザイン基礎演習」では、大学での学びの意味を理解するために、また、基礎的なアカデミックスキルを身につけるために、そして、自己のライフデザイン・キャリアデザインを構想できる能力を養うために、さまざまな演習を行っています。第9回目(6月13日)は4年生3名に学生生活や就職活動について大いに語ってもらいました。さらに本学の花村邦昭理事長に、『関係的自立』を基本にどう生きるかについて講演していただきました。

まず、今回話していただいた3名は、大手エネルギー系企業のグループ会社にSEとして内定を得たIさん、大手情報通信系会社にSEとして内定を得たAさん、そして大手メーカーに内定を得たTさんでした。それぞれ学生生活の送り方や就職活動への臨み方などについて具体的なお話を伺いました。

IMG_0833_sIさんは、資格取得でも、アルバイトでもサークル活動でも習い事でも旅行でも、とにかくやりたいことには挑戦するようにと力説され、そのなかで自分の時間を大切にするようにと話してくれました。そのためには1,2年生のうちにしっかりと単位を取得し、自分の興味に一致したゼミナールを選択することも重要であると述べられました。大学生活全般の経験が就職活動にも影響を与えるので、焦らず大学生活を充実させることがポイントであるようです。

IMG_0851_sAさんは、学年ごとの単位取得数や委員会活動、就職活動などに関して、1年生から4年生まで時間軸に沿って有益なアドバイスを与えてくださいました。特に就職活動では自己分析・他己分析・企業分析の実例や面接対策、筆記試験対策など、経験を踏まえて指導してくださいました。教室での授業の受け方なども具体的で1年生はよく理解できたのではないでしょうか。

IMG_0837_sTさんは、一言ひと言、問いかけるように話を進め、1年生を話に引き込みながら大学生活の送り方について、また就職活動についてアドバイスしてくださいました。就職活動用のノート作成の勧めや、新聞・ニュースに興味を持つこと、英語力を強化すること等は、1年生の胸に強く響いたのではないでしょうか。

三者三様に個性豊かに話を進めてくださったので、1年生はそれぞれ自分に照らし合わせながら、大学生活の有意義な過ごし方、そして就職という次のステップに向けた4年間の活動の重要性について理解を深めることができたと思います。

IMG_0841_s次に理事長の花村先生は、「働く」ことの意義についてお話をされました。ご自身が実際に経験された、飛び込み営業の新社会人との小さな出会いが、結果的には一人の大妻生の人生をも左右するような結果となった話をきっかけとして、話を進められました。「仕事の報酬は仕事」であり、決してお金ではないという花村先生のメッセージは1年生に深く、強く印象を与えたようです。

また、大妻女子大学が掲げる教育目的である『関係的自立』を基本にどう生きるかということについて、「関係性」、「自立性」、「投企性」の正常な働きと関係づけて講演されました。終始、笑顔で学生に優しく語りかける花村先生に、1年生は大妻生であるとの自覚を新たにしたと確信しています。