【授業紹介】第11回 プログラミング入門・プログラミングコンテスト結果発表

情報デザイン専攻では、はじめてプログラミングを学ぶ1年生向けに「プログラミング入門」という授業があります。ほぼ全員がプログラミング未経験から取り組み、プログラミングの基礎を学びます。2023年度はProcessingをJavaScriptで書けるようにしたライブラリp5.jsを導入して4年目となりました。p5.jsは自分の手元に開発環境が整っていなくても、Webブラウザ上でコーディングや共有が簡単にできるという利点があります。またアニメーション等の表現がしやすいことでも知られています。

2023年度は最後の2回の授業時間を使ってプログラミングコンテストを実施しました。2023年度のプログラミングコンテストのテーマは「AIと人間」にしました。2023年の新語・流行語大賞に「生成AI」が選ばれるなど、AIは我々の社会を変える影響力を持つようになってきています。AIという言葉の定義も受けるイメージもさまざまな視点がありますが、あえて先入観を持たせるような説明は省き、学生の自由な発想にしたがって、アニメーション又はインタラクティブメディアで表現することに取り組んでもらいました。今年は行事の関係で授業内制作時間が例年より1コマ少なかったのですが、かなりレベルの高い技術や、工夫の凝らされた作品が多く寄せられました。また、作品の一部にChatGPTなどの生成AIを取り入れた、アイデアあふれる作品も寄せられました。今年も各クラスからノミネートされた代表作品から、教員3名による審査によって、優秀賞(ゴールド)2件、優秀賞(シルバー)3件を選出しました。次の通りご報告いたします。

受賞されたみなさん、おめでとうございます。また、惜しくも受賞できなかった方の中にも素晴らしい作品が多くありました。是非、これからも楽しんでプログラミングを続けて欲しいと願っております。

以下の受賞作品の画像をクリックすると、その作品が別タブが開きます。画面を一度クリックしてから、マウスやキーボードで操作して下さい。スマホのタッチには対応していない場合がありますので、必ずPCでご覧下さい。


【優秀賞(ゴールド)】セクターγからの脱出

セクターγからの脱出

作者のコメント:入学前からプログラミング入門のコンテストでゴールドを受賞できたら良いなと思っていたので、今回本当にゴールドを受賞できてとても嬉しく思います。テーマが「AIと人間」ということで、まず人とAIロボットが出てくるゲームを作ろうと思いました。AIは使う人によってその性質を大きく変えます。適切に使えば多いに人の役に立ちますが、悪用してしまえば私たちの脅威になります。実際にAIを使った犯罪も横行しています。ですが、それらはAIが悪いのではなく私たち人間のAIリテラシーの問題なってくるということをこの作品で表そうと試みました。今回悪役として登場するAIも人間にBB変異させられ犯罪を犯してしまいますが、これもAIの意思ではなくその主の人間が仕向けたことなので、この作品の本当の悪役はBB変異体の裏にいる人間なのだと思います。
もっとしっかりメッセージを伝えたかったのですが、冬休みの期間だけでは足りないと思ったので、必要最低限の作業しか出来なかったのが少し心残りです。ですが、試行錯誤して形にする行程はとても楽しかったです!


【優秀賞(ゴールド)】イルとの旅

イルとの旅

作者のコメント:「イルとの旅」を選んで頂き、ありがとうございます。この作品は、小説風RPGです。AIに仕事が奪われるという記事を読んでから、「もしAIが感情を持つとしたら、どんな世界なのか。人間には何ができるのか」を考え、私は「自由な選択と共感」だと思いました。それを体験によって伝えたいと考え、ストーリーを作りました。物語を作るのは初めてなので、分かりにくい箇所があるように、制作には数々の問題がありました。この経験を今後の制作に活かしていきます。こだわりは、自分の作ったキャラクターと冒険したいと思ったことから、細かいビジュアル作成を出来るようにしました。また、一部の舞台は大妻女子大学で、大学の要素もリスペクトとして詰め込んでいます。このゲームは「粘り強さ」に注目しています。好きなカラーがすぐに出ないように、AIは万能ではありません。貴方が粘り強くなければならない要素があります。ストーリーでは「条件分岐」が沢山あります。情報を集めるために、様々な選択をして下さい。物語の終わりは全部で10通りです。どうぞ楽しんでください。


【優秀賞(シルバー)】AIのアトリエ

AIのアトリエ

作者のコメント:私の作品はAIのアトリエという題名で、悩みを持った主人公が未来の生成AI達に悩みを相談するお話です。今回のテーマであるAIと人間というものはまだAIについてのルールが確立されていない現代で考えるとどうしても暗い話になってしまったため、私が考えるAIの生成物の扱いが確立された未来を舞台に話を構成しました。
現在AIの中でも画像、動画などを生成する物は否定派と肯定派で分かれている印象がありますが、AIの学習対象の著作権についての問題がしっかりと解決したのち、この作品のようにいつかAIと人間が手を取りあえるような社会になればと思っています。
プログラミングは初挑戦で、この作品を作るまでに様々な苦労もありましたが、過去の作品のコードを参考にしながらなんとか作り上げました。
私の作品もいつか誰かの参考になれば幸いです!


【優秀賞(シルバー)】emotion

emotion

作者のコメント:この度は、優秀賞(シルバー)への選出ありがとうございます。今回のテーマ、「AIと人間」をどう表現するか考えた際、現状人間とAIの大きな違いである「感情」を題材にしようと考えました。AIはプログラムされた法則に則って行動します。しかし、人間の「感情」に法則はあるのでしょうか?「感情」の違いを通して、この作品には、AIの技術に頼りすぎるのではなく、AIを使用していく中で、人間にしかできないことを知るのが大切であることをメッセージとして込めています。また、題材に関連して、感情分析AIの紹介もしています。「AIと人間」の関係について、皆さんが考えるきっかけになれば幸いです。
作品制作においては、授業で学んだコードや表現方法を最大限に活用するように意識しました。特に、オブジェクトの範囲指定や動作にはかなり時間をかけて取り組みました。私は、本格的なコードを書くプログラミングが今回の授業で初経験でした。こちらのサイトをご覧になっている、これからプログラミング入門を受講する方には「初心者でも授業を通してしっかり作品が作れる」ことを知ってもらえると嬉しいです。
今後も授業でスキルアップを目指し、さらに面白い作品が作れるよう、精進していきます。


【優秀賞(シルバー)】Mother

Mother

作者のコメント:今回私は、「AIは人間が学習元である」ということをテーマに作成しました。私たち人間がAIをどのように扱うか、何を学習させるかで、今後の人工知能を取り巻く環境が変化していくのではないかと考えているため、要素として取り込んでみました。選択肢によって作中に登場する人工知能の言動が変わるといったシステムは、特にこだわって制作したポイントです。また、フェード表現や操作画面などのデザインは世界観を作り出すため工夫しました。エンディングは大きく分けると2つですが、選択肢によって言葉選びや対応、最後に選べる選択肢が変わるので、細かな部分も楽しんでいただければ嬉しいです。


これまでのコンテストの記事は以下のリンクからご覧になれます。

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