東京国際プロジェクションマッピングアワード Vol.9に参加して

社会情報学部 情報デザイン専攻 堤研究室(3Dグラフィックスゼミ)

2024年11月16日(土)に東京ビッグサイトで開催された「東京国際プロジェクションマッピングアワードVol.9」に、堤研究室では3年ゼミ生12人全員(チーム名:function twelve()、作品名:「蝶躍(ちょうやく)」)で出場しました。今回のテーマは「LIFE」で、全国から選出された22チームの作品が上映されました。

本ゼミでは第1回から9年連続で第一次審査を通過して本番出場を果たしています。

さて、ゼミ生は7月の企画立案から10月下旬の作品提出まで4か月に亘って制作を続けました。今回のアワード挑戦は、大妻女子大学がTV局のドキュメンタリー番組『ふるさとの未来』の取材を受けた際に学生の活動紹介の一つとして取り上げられ、7月にTV局の取材を受けました。その後、作品最終審査・上映会まで密着取材が続くことになりました。12月下旬に密着取材の結果が放映される予定です。

●作品「蝶躍」の概要

人は、未熟がゆえに挫折したりさまざまな友情に育まれたりしながら、
大人になっていく。
・・・青の時代の主人公は、思慮もなく外の世界に飛び出すが、
嵐に打たれ一度の挫折で繭の中に閉じこもってしまう。
そこに登場する蝶たちは、
主人公を元気づけようと周囲を舞いながら寄り添う。
この出会いによって主人公は繭の中で成長し、
自らの力で殻を破って仲間と未来へと羽ばたいていく。
時が経ち、大人になった主人公が、
無邪気に駆け抜ける「青の時代」の子供たちに自分を重ねたとき、
彼の眼差しは次世代を見守る温かさに満ちていた。

図 作品中の主要なシーン

●学生の所感

『私たちは作品「蝶躍(ちょうやく)」に、挫折を味わって閉じこもってしまっても、殻を破り、また前を向いて進んでいける、というメッセージを込めました。

さて、もとよりアワードに挑戦したくてこのゼミを選んだ学生ばかりですから各自にそれなりの思いがあり、企画段階から意見がなかなか集約できませんでした。それでも、ハイスペックPCを求めて酷暑の夏休みも大学に通い、また就活よりも制作を優先させてくれたメンバーもいて、最後まで全力で駆け抜けました。

そもそも1つの作品を12人という大所帯で制作することはとても難しく、特に最初はゼミに所属してから日が浅いこともあってお互いになかなか意見がでませんでした。しかし、少しずつ話し合いを重ね、「ビックサイトの形を活かせていない」、「より良い流れにするためにシーンを大幅に変更してみよう」など、作品本位の意見交換をし、最終的には作品の主旨は保ったまま、「プロジェクションマッピングとしての面白さ」を感じられるようにまとめることができました。

結果として受賞することは叶いませんでしたが、CGの技術だけでなくグループでのコミュニケーションの大切さも学ぶことができたこの4か月間の貴重な体験は、私にとっても自分の殻を破るきっかけとなりました。』

(チームリーダー:M.S.)

『今回の作品を制作するまで、個人的には3DCGやビデオ編集、モーショングラフィックスなどのソフトを本格的に使ったことはありませんでした。それでもインターネットや友人の助言を頼りにかなり使いこなすことができるようになりました。このように短期間でそれぞれのスキルがかなり上がったのは、ひたすら手と頭を動かして実践的に学んだからであり、この経験は情報社会を生きていく上でも活きてくると思いました。

制作では、挫折した主人公を励ます「蝶」のモデル制作を担当しましたが、これまであまり見たこともなかった蝶を一からデザインすることでは苦労しました。作った蝶の羽の3Dモデルは先生から「生物学的に有り得ない、蝶の成長の過程を考えなさい」と何度も言われ、現実の蝶と初めて向き合って修正を重ねてきました。実際の蝶の羽の模様や飛び方などを学んで分かったことは、想像だけでは説得力がある「美しさ」は作れない、本質が分かっていてこその3Dモデルであるということでした。観てくれる人が単なる映像としてだけでなく、蝶の役割に感情移入できるよう時間をかけて作り込みました。

チームの運営ではゼミ長と協力しながらチームをマネージメントしてきました。メンバー相互による積極的なコミュニケーションなしでは、全員が対等に意思疎通を図ることは難しいと痛感しました。リーダーが命令して周りが従うという形にならないように、できる限り全員が相互に意見交換できるような場になるように努めました。

制作中は様々な壁が立ちはだかり、時には挫けそうになりましたが、仲間と乗り越え、そしてビックサイトという大きな会場で上映することができました。このことは私たちの作品「蝶躍」=「跳躍」そのものであり、素晴らしい人生経験となりました。』

(副チームリーダー:K.S.)