本学のプログラミング教育でも用いられている、プログラミングによる視覚的な表現(画像の生成、アニメーション、インタラクション)を簡易にするProcessingシステムをベースにしたOSS(オープンソースソフトウエア)であるp5.jsへの本学の仕様提案などの貢献が掲載されました。書籍の執筆には本学の学生が参加しています。
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【授業紹介】第7回 プログラミング入門・プログラミングコンテスト結果発表
情報デザイン専攻では、はじめてプログラミングを学ぶ1年生向けに「プログラミング入門」という授業があります。この授業では、図形やアニメーションを描きながら、楽しくプログラミングを学ぶことができるProcessingと呼ぶプログラミング言語を使用しています。
2019年度にも最後の3回の授業時間を使ってプログラミングコンテストを実施しました(これまでの結果はこちらからご覧になれます。第1回コンテスト、第2回コンテスト、第3回コンテスト、第4回コンテスト、第5回コンテスト)、第6回コンテスト。2019年度のコンテストのテーマは「レシピ」にしました。手順物語性や変化を入れ込んだ、動きのあるインタラクティブな作品作りに結び付けてほしいとのねらいがありました。
こうして1年生全員が取り組んだコンテンストですが、2019年度もProcessingのアニメーションを駆使した素晴らしい作品が多数制作されました。その中から教員3名による審査の結果、優秀賞(ゴールド)2件、優秀賞(シルバー)3件を選出しましたので、ご報告いたします。
受賞されたみなさん、おめでとうございます。また、惜しくも受賞できなかった方の中にも素晴らしい作品が多くありました。是非、これからも楽しんでプログラミングを続けて欲しいと願っております。
以下の受賞作品の画像をクリックすると、その作品が別タブが開きます。画面を一度クリックしてから、マウスやキーボードで操作して下さい。スマホのタッチには対応していない場合がありますので、必ずPCでご覧下さい。Processingで制作されたコードは、processing.jsライブラリでWebページ上で動くように変換しております。
【優秀賞(ゴールド)】Let’s make pizza by processing!
作者のコメント:テーマである「レシピ」から食べ物を連想し、自分好みのピザのトッピングを楽しむことができる作品が作りたいと考え制作しました。基本部分を完成させた後、トッピングの種類やピザの焼き目をこだわったり、名前入力や日付表示、スクリーンショット、アドバイス表示などの機能を追加したりすることで、より興味を持って遊んでもらえるように工夫しました。自分のアイデアを表現するために本やインターネットで調べ、うまくいかない時は別の表現方法を考え探すなどの苦戦をしたり、 Webページ上で動かない機能があるなどの反省点があったりましたが、とても勉強になる良い経験となりました。今後はより視野を広げて、人の心を動かすことのできるコンテンツ制作を目指し、学びを深めていきたいと考えています。
【優秀賞(ゴールド)】花のレシピ
作者のコメント:レシピがテーマということで、操作によって変化し、状態が移り変わっていくようなものにしようと考えた結果、花を育てるゲームを制作することにしました。この作品で一番大事なのは分岐だと考えます。花が育つまでに全部で3回操作を行うことが出来ますが、水か栄養剤のどちらを与えるかによって育ち方が変わっていきます。これには私の実体験も生かされています。また、見えない部分ですが、if文と状態を示す変数を利用して、タイトルとゲーム画面の状態遷移を戻り値なしの関数で行ってみました。こうすることですっきりまとまったのではないかと思います。あとは一番綺麗に育てることが出来た場合に、ちょっとしたお楽しみのヒントが表示されるようになっています。賞をいただけてとても嬉しいです。ありがとうございました。
【優秀賞(シルバー)】おだんご
作者のコメント:今回のテーマ「レシピ」から私はおだんごが完成するまでの過程をつくりました。場面の切り替えやキーボードを押して操作できるようにするところに苦戦しました。おだんごを焼いているときに湯気を出したり、おだんごの焼き加減の色を工夫したので、みなさんにおいしそうと思ってもらえると嬉しいです。今後もプログラミングを勉強して、楽しくいろいろな作品がつくれるように頑張っていきたいです。
【優秀賞(シルバー)】恐竜のシチュー
作者のコメント:この度は優秀賞に選んでくださりありがとうございます。今回の作品は、操作はすべてクリックで場面が展開していく作品を制作し、ストーリー性のあるゲームで楽しく見ていただけるような作品制作を心掛けました。ストーリーとしての面白みを出すために、あえて現実味のない内容にしました。レシピの要素として、このストーリーの結末は2種類用意してありますが、それぞれ最後の場面までの過程を「レシピ」と考えました。特に頑張った点は、クリックのタイミングをシーンごとに設定したところと、クリックの範囲指定です。初めてのプログラミング制作でしたが、頭の中でやりたいことがたくさん思い浮かんでしまい、時間はかかってしまいましたが、1つの作品を完成できたことに大きな達成感を感じることができました。多くの改善点はありますが、今後も精進していきたいと思います。
【優秀賞(シルバー)】mouse de cooking!
作者のコメント:今回のテーマの「レシピ」から料理をイメージし、マウスを動かすと遅れてついてくる動きを焼く過程に使いたいと思いこの作品を制作しました。炎の揺らめきや時間経過に応じた焼き色の変化など細かい部分にもこだわりました。卵が落ちてくる部分の作成が1番大変でしたが、毎週の課題によって得た知識の中でどのように動きを表現しようか考える時間が楽しかったです。もっといろいろな表現ができるように今後とも精進していきたいです。
パソコン購入をお考えの学生・保護者の皆様へ
大妻女子大学も全学でオンライン授業を行うことになりました。それにともない、情報デザイン専攻では、目安となるパソコンの推奨スペックやソフトウェアについて、こちらのページにまとめましたので、今後、ご購入をお考えの際はぜひご参考にしていただければと思います。
履修登録に関する問い合わせとQ&Aについて
4月20日(月)〜4月24日(金)まで履修登録期間となっていますが、
履修登録に関する下記メールへの問い合わせは、4月24日(金)16時までにお願いします。メール問い合わせ先:shajo-st@ml.otsuma.ac.jp
締め切り直前は混雑することが予想され、時間内に回答できない可能性があります。
時間に余裕をもって履修登録を行うようにお願いします。
クラス別ガイダンス資料について
コロナウイルス感染症の影響で、クラス別ガイダンスは中止されました。そのため、Web履修登録について特に重要な情報を履修ガイダンスページ(「メインメニュー」>「NEW ! 履修ガイダンス」)にまとめてアップしましたので、郵送した資料と合わせて必ず確認してください。
この資料のほか、UNIPAにアップされる「履修登録の手引き」、manabaの連絡事項などを確認し、間違いのないように各自でWeb履修登録を行なってください。
以上
ヒューマンコンピュータインタラクション研究会での発表報告(松田ゼミ: 村山)
報告者:村山文香(松田ゼミ)
卒業研究として行った「MR空間を用いたウォーキング支援システムの試作と評価」を,2020年3月16日にオンラインで開催された第 187回 ヒューマンコンピュータインタラクション研究会で発表しましたので報告いたします.論文はここをクリックしてください.
1 ヒューマンコンピュータインタラクション研究会に関して
本研究会は、計算機科学,ソフトウェア科学,情報科学,さらには認知科学,社会科学,文化人類学,教育学,組織論,経営学,メディア論,芸術といった人文科学の融合を通して,理論,モデル,技術,応用および評価手法といった側面から取り組む研究者,および実務者のためのコミュニティです.年5回ほど研究発表会が行われます.今回は新型ウィルスのためオンライン開催となりました.
2 発表内容
近年,IT技術は幅広い分野で利用されており,運動の支援にも応用されていますが,運動習慣のある人は少ないです(特に20代女性では11.6%).その対策として,手軽に行えるウォーキングが推奨されています.対して,ウォーキングは手軽に行える一方で,運動する環境が変化しにくい,運動そのものの動作が単調で飽きやすい,モチベーションの維持が難しいといった,単調さに起因する問題があります.従来のウォーキング支援システムは,時間・進捗管理や結果を共有することなど運動後の支援が中心です.そこで,本研究ではウォーキング実施中のユーザ支援に注目し,MRで仮想ペットを提示し,運動する環境が変化しにくく飽きやすい問題に対し,その解決手段として仮想のペットがウォーキング実施者の前を歩き,仕草といった視覚効果を与える機能を持つシステムを開発し,議論しました.本発表では,開発したシステムの概要、20人の女子大生を対象に行った実験と、その結果を述べました。
本システムは,Microsoft社のMR用のヘッドマウントディスプレイであるHoloLensで開発しました。
本システムが持つ機能としては、(1)仮想ペット(犬または猫)による歩行中の仕草による視覚効果提示[基本仕草],(2)ウォーキング実施者(以降,ユーザ) 歩行速度計測[派生仕草],目標速度に基づく仮想ペットの仕草変化,(3)仮想ペットによるユーザ先導[先導],の3 つを持つもので、これを用いて、1.事前実験,2.事前アンケートと,3.システムを用いた評価実験,4.事後アンケートの4つを用いて有用性の評価を行ないました。
- 楽しさ:
システムの楽しさ: 基本仕草,派生仕草が,ユーザに仮想ペットの存在をさらに意識させ,楽しさに影響したということが分かりました。
ウォーキングの楽しさ: 事前アンケートで行なった「ウォーキングは楽しいと感じますか」という質問の評価が3.3であったのに対し,上昇したことがわかりました.しかし,t検定を行なったところ有意差がないことがわかりました.ウォーキング中の楽しさについて平均値が上昇したことより,システムを利用した方が楽しいと感じることができたことが分かりましたが,実験間の有意差がなかったことから,ウォーキング中の楽しさは仮想ペットの存在自体の影響が大きく,個別の仕草の影響は小さいと考えられます. - モチベーション:
短期的なモチベーションに繋がりましたかという質問については,実験③がもっとも評価値が高い結果になりました.さらに,t検定を行なったところ,有意差があるとわかりました.また,長期的なモチベーションに繋がりましたかと言う質問についても良い結果が得られ,本システムは短期的,さらに長期的なモチベーションの向上に影響を与えることが分かりました. - 目標速度:
目標速度で歩くことのできた平均時間について,本システムが評価値が高い結果になりました.実験後の感想から今回のシステムでは,目標速度が少し速いと感じるユーザが多かったこと,目標速度よりもかなり遅く歩いている時に仮想ペットの止まる仕草と歩く仕草が交互に提示されるような状態になった際に,スピードを上げさせるような仕が提示できなかったことが原因と考えられます. - 仕草への気づき:
ほとんどのユーザが仕草に気づいており,基本仕草に派生仕草が加わると,仕草に意識を向ける点でさらに影響かあったこととが分かりました. - 仮想ペットのリアリティ:
仮想ペットの仕草のあるなしかはリアリティに影響しますが,6 種類仕草を増やしても有意な差を得るまでに至らなかったことがわかりました。 - 環境の変化への影響:
本システムがもっとも評価値が高い結果になりました.しかし,t検定を行なったところ,どちらも有意差を得ることはできませんでした.よって,各実験における差はないとわかりました.同じスピードで歩いている際には,派生仕草においても同じ仕草が提示されることが多くなってしまうため,基本仕草との差異が小さくなり,有意差に繋がらなかったのではないかと考えます.これらの結果から,本システムは環境の差は感じるまでに至らないとわかりましたが,運動の支援をする環境の基礎になる可能性が高いことが分かりました。
3 発表に関して
発表当日はzoomを用いて発表を行いました.
「現実にペットを飼っている観点から考えると,ペットの健康のための散歩であり,雪だから行かない,のようなことはできない.そのような感覚を作り出せたら良い」というようなコメントや,「物事を習慣化するには90日続ける必要があると聞いたことがあるが,このシステムでは継続性について実験する予定はあるのか」,「HoloLensは明るさに弱いと思うがその点についてはどう対処して行くか」などの意見をいただきました.また,質疑応答用スレッドでは活発に意見をいただくことができました.
4. 終わりに
多くの人が聞いている場で発表することは緊張しましたが,たくさんの意見をいただくことができ,とても良い経験になりました.また,研究会に参加することで,他大学や他機関の方のお話も聞くことができたので,興味深く感じました.3年次から研究を始め,大変なこともありましたが発表を終えることができよかったです.
松田先生、ゼミ生や実験に協力してくださったみなさまに感謝いたします.
【重要】新型コロナウイルスに関するお知らせ
新入生、在学生のみなさま
新型コロナウイルスに関する本学の対応等については、学院トップページに随時掲載しています。
皆さまにおかれましては、日頃から手洗いや咳エチケット等、感染予防に努め、登校される際は、手洗い、アルコール消毒、マスクの着用など、充分なご配慮をいただけますようお願い申し上げます。
学院トップページ:http://www.gakuin.otsuma.ac.jp/
田丸直幸先生の最終講義が行われました
このたび、22年にわたり大妻女子大学で教鞭をとって参りました社会情報学部情報デザイン専攻の田丸直幸教授が定年を迎えられ、本学H棟で「大妻での22年間」というタイトルで最終講義が行われました。
講義では、卒業生など大勢の参加者のなか、約1時間にわたり、ロボコンなどの教育活動の紹介、他大学とのゼミ活動、情報ネットワーク論などの講義、子供ロボット教室などの地域貢献活動、カルマンフィルタをベースとした研究活動、今後の大妻への期待など多岐にわたる内容をお話しいただきました。
大変興味深く、今後の本専攻のあり方を考えさせられる講義でした。
ありがとうございました。
今後ともご指導ご鞭撻のほどお願いいたします。
Sigfoxを使ったIoTアイデアコンテスト優秀賞 受賞報告 (松田ゼミ: 山川)
千鳥会報第98号原稿: スマホやめますか?—人工知能が49%の仕事を奪う
<松田ゼミ-23 前へ>
千鳥会報第98号原稿に以下を書きました。
最近、「今後10年~20年間にかけて、現在日本国内で担われている職業の49%が人工知能(AI)やロボットに代替えできる可能性がある」という発表がありました。AIやロボット等により代替される可能性が高い100種の職業には、一般事務員、銀行窓口係、ホテル客室係、受付係、電車運転士などがあげられています。
これを聞いて驚いたり、将来を心配する人がいるかもしれません。AIなんか作らない方がよいと言う人もいるかもしれません。しかし、このような出来事は今までも緩急は別にして技術の発達とともに何度となく起こってきており (ラッダイト運動など)、今回が初めてということではありません。
例えば、インターネットの発達により、いろいろな情報がネットで手に入るようになり始めた1990年代の終わり頃約2.3万店あった書店は、2018年には1.2万店。1万店以上減少したと言われています。これはスマホの登場により、より簡易に情報が入手できるようになってから加速しています。つまり、スマホやインターネットが多くの本や雑誌に関する仕事を無くしているのです。これを止める一つの方法は、スマホやインターネットの使用を止め(もしくは、使いながらスマホでも入手できる情報が書かれた)本や雑誌を買うことです。スマホやインターネットはすでに生活の基盤になっており、止めることは難しいかもしれません。
これと同じことがAIにも言えるようになるでしょう。大事なことはそのような未来に向け時間をかけて、必要な力を身につけることです。大学はそれをするための時間と場所を与えてくれる最適な環境です。大学での4年間という時間を十二分にみなさんの未来のために使ってください。