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社会情報学部情報デザイン専攻の松田ゼミでは、地域連携プロジェクト「ヒューマノイドロボット Pepper を通した参加・体験型イベント」の活動の一環として11月18日に唐木田児童館で子供達を集めPepperの体験イベントを開催しました。

1. 児童館との協業

今回のイベントは、これまでに経験がない児童が対象であったため、イベントの設定は、唐木田児童館の三枝館長にアドバイスとご協力をいただいて行いました。児童館にイベントのポスターを作成いただき(図1)、事前の申し込み受付、参加人数の制限、参加者の把握などを行っていただきました。
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図1 ポスター

児童館によるとイベントの2週間前に受付を開始し、その日の内に50名の定員が埋まってしまったそうです。このことから、子供たちや保護者の関心が高いことが分かりました。最終的な申し込みは子供55名と保護者数名で、当日の参加者は子供53名と保護者数名でした。当日の会場の様子を写真1に示します。

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写真1 当日の様子

2. イベントの様子

当日は、松田が大学と研究の紹介を行い、次に、ソニー(株)でエンジニアをしてらした由谷哲夫氏から、招待講演として「Pepperの紹介とこれからのロボットとの関わり方」についてご講演を頂きました。

その後、ゼミ生が中心となってPepperと子供たちの体験イベントを行いました(写真2)。体験イベントは、Pepperと一緒に「ようかい体操第一」を踊るものとPepperとのじゃんけん大会です(写真3)。Pepperは人間と同じ速さでは動けないのでかなりゆっくりとした体操でしたが、それがかえって子供達には新鮮だったようで、非常に面白がっているように見えました。

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会場の広さの都合で50人が一度には踊れないので、2つのチームに分け交代で踊ってもらい、その後全員でPepperが音頭を取ってのじゃんけん大会を行い、最後に子供たちからの質問に答える時間を取りました。

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今回は「ようかい体操」や「じゃんけん」などインタラクションとしては比較的簡単なものでしたが、Pepperと一緒に遊ぶことで、人との関わりあいを主体にした新しいタイプのロボットを実際に体験でき、子供たちの関心を高めることができたようです。これが、その後の質問時間の盛り上がりにも続いたと思われ、「見ることができるのか?」「早く動けないのはなぜか?」「どうやって動いているのか?」「どうして勝手に動くのか?」など多くの子供たちが途切れることなく次々に質問を行いました。このため、当初10分程度を予定していましたが、子供たちの積極さに押され10分近くも時間を延長しました。最後にアンケートを行いました。

3. アンケートの結果

アンケートの結果を以下に示します。アンケートより、参加者の学年は1~3年生が中心で、男女比率はほぼ半々であることが分かりました。これから、男子だけでなく女子も高い関心を持っていることが分かりました。また、アンケートはとっていませんが、保護者の方もほとんど女性でした。

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また、イベントが楽しかったかどうかに関しては以下の結果から、高い関心を持たせることができたと考えられます。

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また、後日、三枝館長から、子供たちから「来年も来てほしい」、「Pepperは成長するのだろうか」といった感想があったというお話をいただきました。さらに、保護者の方から「将来はPepperのようなロボットが家庭に入ってくるのだろうか」など数日間は話題によく上がっていたとのことです。新しいロボットを感じていただくことができたと思われます。

Pepperは、独特の風貌をしており幼児だと怖がる子もいるので、小学生がどう感じたかもアンケートしました。

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結果は多くの子供が「かわいい」と感じており、何らかの好感を持ったといえます。Pepperが一所懸命踊る姿も好感を持たせるのに影響した可能性も考えられます。

4. おわりに

ゼミ生は、イベントで何をするかの検討、準備、児童館との打ち合わせ、当日の司会進行や子供たちの誘導を行い、外部の組織との協業や子供たちのパワーに実際に触れることで貴重な体験ができたようです。

最後に、児童館から「来年も是非成長したPepperを見せに来てほしい」との要望をいただき、来年度のイベントでもより進んだロボットの姿や関わり方を子供たちに見せられるよう今後も継続的にPepperを進化させていく予定です。

 

 

 

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報告者(松田ゼミ:池田彩子)

松田ゼミに所属するゼミ生(池田)は、卒業研究として「料理のレシピ提示支援システムの開発と評価」を行い、卒業論文として提出しました。今回はその締めくくりとして、3月10日から12日にかけて、慶應義塾大学(矢上キャンパス)で開催された一般社団法人情報処理学会が主催する情報処理学会 第78回全国大会で発表してきましたので報告します。学会に提出した論文はここをクリックしてください。

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1.発表内容

今回の発表は、従来の料理サイトの問題を明らかにし、新しい料理レシピ提示支援システムの提案するものです。

これまでに作ったことのない料理を作る時は、そのレシピを見ながら、料理をすることが多いと思います。今日、公開されているほとんどの料理サイト(クックパッド、シェフごはん、レシピブログ等)は、文章と画像だけで構成されており、インターネットで簡単に検索できるので、スマートフォンやタブレットで、レシピを参照しながら、料理をすることができます。しかし、料理中には手が汚れることが多く、汚れた手のままでは操作がしにくいという問題があります。

また、既存のサイトは文章と写真だけで料理の工程が分かりにくく、動画による説明があるサイトもありますが、全工程に動画がなかったり、短く編集されていたり、逆に全工程が1つにまとめられてしまっています。まとめられている場合には、巻き戻し、早送りなどの操作が増えるという問題があります。

このような問題を元に、本研究ではレシピ提示支援システムCookingを試作しました。本システムは、ジェスチャ認識を行う小型の装置(Leap Motion)をパソコンに接続することで、手の動き(ジェスチャ)で表示したレシピの操作を可能にします。

Cookingで表示するレシピは、後で述べる実験の評価条件をそろえるために、クックパッドに掲載されているレシピ(http://cookpad.com/recipe/390716、2854122)を再構成したものを用い、各工程に動画を付加しました。マカロンは12工程10動画、肉じゃがは8工程7動画の構成としました。

図9

 

本システムの評価は、料理に苦手意識を持つ学生20人にクックパッドと本システムを使用して、マカロンと肉じゃがを作ってもらうことで行いました。実験は唐木田市民センターの調理室をお借りして行いました。

実験の結果、実験後のアンケートから、本システムの使用感、成功率の項目に関しては、20人中18人が本システムを選び、使いやすい、という評価結果が得られました。また、料理の成功率は、マカロンの場合、本システムで70%、クックパッドで0%となり、肉じゃがは全員が両方のシステムで成功しました。

図10

図11

このような料理の成功・不成功の結果を分析してみると、アンケート結果より、レシピで分かりにくい作業が結果に影響していることが分かりました。肉じゃがの分かりにくい作業は野菜の切り方(くし切り)で一方、マカロンは、生地作りが分かりにくい工程でした。肉じゃかのは、料理の成否にあまり影響しませんが、マカロンの生地作りは成否に大きく影響します。この作業はクックパッドの画像だけでは分からなく、Cooking の動画が功を奏していました。なお、このようなクックパッドのレシピの情報不足は肉じゃがを作成する際にも生じていましたが、被験者が実験中に他サイトを調べることで問題が顕在化しなかったようです。

また、マカロンでは、このような情報不足を他サイトで補う行動は両システムともに観察されませんでした。これは、お菓子作りでは特有の速めの作業が求められるため時間的余裕がないのに加え、料理による手の汚れが原因だと考えられ、アンケート結果にも現れていました。

以上より、各工程に付加した動画がレシピの情報不足を補い、操作性も向上することができるこおとが分かりました。また、Cookingで提供したジェスチャ機能と動画機能は、マカロンでは動画機能が評価され、肉じゃがではジェスチャ機能が評価されるなど、料理により評価が異なることも分かりました。

今後の課題としては、動画が必要な工程と不要な工程などの条件を明らかにし、一般の人が動画を付加されたCookingのレシピを作成しやすくすることがあげられます。

図12

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2.Leap Motionとは

Leap Motion(リープモーション)は、2012年にLeap Motion社から販売された手のジェスチャによって、コンピュータの操作ができるデバイスです。マウスや画面タッチを用いずに操作ができる体感型のシステムで、ジェスチャによって直観的に操作することが可能とします(ウィキペディア引用/https://ja.wikipedia.org/wiki/Leap_Motion)。

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3.発表に関して

発表会は、午後から開始だったので、お昼休憩の間にパソコンの接続、資料の最終確認をし、発表までの時間を過ごしました。私の発表したセクションは、院生を含めた全員学生で、8名の発表がありました。発表時間は12分、質問時間が3分でした。

初めての学会発表であり、私自身かなりのあがり症なので、しっかり発表出来るかとても不安でした。ですが、当日までに2回松田先生に練習して頂いて、家でも何度も練習をしたので、自分でも驚くほど落ち着いて発表することができました。発表後、頂いた質問をいくつか載せます。

  • 成功率にかなりの差があるが、クックパッドのレシピ(つくれぽでレシピごとに評価がある)は、高い評価のものを使用したのか。
  • 料理の難易度によって実験の結果に影響はないのか。

今回公共の場での発表は2度目でしたが、少しずつ自分が成長していることを、今回の発表で実感することができ、とても嬉しかったです。今回の経験を、これからに活かしていこうと思います。

 

 

 

先日、一般入試A方式I期が千代田校にて行われました。受験生の皆さんお疲れ様でした。試験後に建設中の新校舎H棟を少しだけ確認してみましたのでお伝えします。外観は落ち着いた色で、隣の本館との相性も良さそうです。この建物に私たちの学習環境が整備されることになります。次年度の秋頃に完成する予定だそうです。どんな校舎になるのか楽しみです。

 

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建物の後方から見上げたところ

 

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工事の囲いの「恥を知れ」が目を引きます

 

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ついでに隣の本館エントラス

 

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本館内の食堂(新校舎に通う学生もここでランチをとることになるかもしれませんね)

 

今回は以上です。これからも新校舎について時々ご報告していきたいと思います!

 

報告者: 椎野綾菜(松田ゼミ)

今回、先生から、初心者向けのp5.jsというプログラミング言語の入門書(p5.jsプログラミングガイド、図1)を一緒に書く機会をいただきました。

今回の本の執筆作業は、次のようでした。(1)プログラムを作成する、(2) Wordで原稿を書く、(3)原稿をチェックする、(4) 出版社へ送付する、です。出版社に送付するとゲラ(版下と同じものの電子版)が戻ってきます。そのゲラをチェックして送ると出版されるという流れになっています。今回は、7月の下旬から、プログラミングを作成し始め、Wordで原稿を執筆し、先生に添削して頂き、8月が終わるまでには終わりました。また、9月の授業が始まるまで、先生が書かれた第2章の文章の校正もさせていただきました。

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図1 本の表紙

1. p5.jsとは?

p5.jsは、ブラウザで動くアプリケーションやそれを含むWebページを開発するための新しいプログラミング環境です。これまでは、WebページはHTML5とJavaScriptを使って作成されていました。しかしながら、HTML5とJavaScriptを使って開発するのは簡単ではありません。このため、それを簡易に行えるようにするさまざまなライブラリが提供されてきました。p5.jsもWebページを簡易に行うためのJavaScriptのライブラリの1種です。これは、1年生の必修のプログラミング入門という授業で学ぶProcessingをベースに開発されており、Processingをより便利に、Webページでも使えるようにしたものです。

 2. 自分の書いたところの苦労

私は、第13章「2Dゲームを作る」を執筆しました。人に伝えるための文章を書いてみて、プログラミング用語の意味をしっかり理解していないかったことに気が付きました。例えば、戻り値についてC言語ではreturn 0; が戻り値だと誤って認識していたため、関数の説明で戻り値を説明しようとした時に、戻り値とは何かがわからなくなってしまいました。また、調べても引数と戻り値の説明が難しく、変数に引数と戻り値がない場合や、戻り値が目に見える変化がない場合があったため、説明に苦労しました。また、先生からは容赦なく真っ赤に修正された原稿が戻って来ました(図2)。

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図2 チェックされた原稿

3.  原稿のチェック

先生が書かれた第2章の文章を「初心者でもわかるか」という点に注意して校正をしていきました(図3)。その際に苦労したことは、初心者の視点にたって文章を読んでいくこと、そして初心者が理解しにくい箇所をみつけることでした。私は大学の授業でプログラミングの勉強をしているため、文章を読んでいくうえで無意識のうちに自分の中でその文章を理解しているということがありました。しかし、初心者にとってその文章はわかりやすいのか、プログラミング経験者と初心者の差を見極めるのが大変でした。また、その文章をいざわかりやすいように直そうとしても、うまい言葉や言い回しを見つけ出すことができず、誰もがわかる文章を書くということに頭を悩ませました。
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図3 チェックした原稿

 4. まとめ

本を書かせていただいて、分かりやすく人に伝える事や、文章の組み立て方の難しさを学びました。また、初心者の人でも分かりやすくするためにはどうすればいいのかを工夫することが楽しかったです。実際に本が送られてきて、手に取ってみると1ヶ月頑張って書いたものが形になったことに感動しました。p5.jsに興味を持った方は、是非この本を読んでp5.jsを勉強してみて、何か作ってみてください。今後、私もこのp5.jsを使って何か面白い作品を作成してみたいと思います。

このような貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。

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報告者(松田ゼミ: 瀬川怜奈、藤生七海)

松田ゼミでは、3年生のゼミⅡの講義2回を使って、Pepperというロボットについて学びました。松田先生に加え、大妻女子大学の研究補佐員である由谷先生をお呼びして、詳しく教えていただきました。

1.Pepperとは

Pepperはソフトバンクが販売する人型ロボットです(図1)。高さは120.1cm、幅が42.5cm、重さは28kgあり、センサーが7か所・カメラとマイクが1か所あります。Pepperはプログラミングすることができます。Pepperのプログラミングは、Choregraphe(コレグラフ)というアプリケーションをWi-Fi経由でPepperに接続して行います。コレグラフは、ロボットの動作を作成し、それをPepperで実行できるツールで、ALDEBARANの公式サイトから無料でダウンロードできます。

図1
図1

Pepperをプログラムするには、まず、Pepperを起動します。起動が終わったらコレグラフとPepperを接続します(図2)。

図.2
図2

2. 今回勉強した3つの動作

今回はPepperの3つの動作を勉強しました(図3)。1つ目は「発話」、2つ目は「移動」、3つ目は「センサーを作動させる」です。

図3
図3

2.1 Pepperを発話させる

Pepperに言葉を発させたい場合、左側のボックスライブラリにある”Speech”に機能があります。この中の”Creation”にある”Say”ボックスを使用します。このボックスを置き、言語をJapaneseに設定し、その下に喋らせる内容を入力します。あとは再生ボタンを押すと、入力した言葉を日本語で話してくれます(図4)。

図4
図4

2.2 Pepperを移動させる

Pepperの移動はx座標y座標を使って表しています(図5)。移動させるためには、”Movement”の中の”Navigation”にある”Move To”ボックスを使用します(図6)。”Move To”ボックスのx座標とy座標の項目に移動させたい距離を入力し、再生ボタンを押すとPepperが移動してくれます。

図5
図5

図6
図6

2.3 Pepperのセンサーを使う

今度は、Pepperの頭を触るとPepperが喋るようにしてみます。Pepperが持つセンサーが人の手を検知して、それを認識した後に好きな言葉を喋らせることが出来ます。これは、”Sensing”という項目の中にある”Tactile Head”ボックスを使用し、それを”Say”と繋げることで可能になります(図7)。

図7
図7

今回は以上の3つの動作を学びました。このような1つ1つの動作を組み合わせることでPepperの動作を作り出すことができます。組み合わせ方の自由度は高く、自分のさせたいようにPepperを動かしたり喋らせたりでき、オリジナルの動きを自分で作り出すことができます。

3. 学祭での活動

授業の以外にも、10月17日、18日に行われた大妻多摩祭でPepperの展示を行いました。その際、Pepperに内蔵されている2つのアプリを使い、見に来ていただいた方に楽しんでもらえるようにしました。その2つを紹介したいと思います。

  • オーディションアプリ
  • Pepperが人の声と表情を読み取り、演技に点数をつけてくれるアプリです。演技のお題は、泣きの演技・笑いの演技・怒りの演技の三つです。Pepperに提示されたセリフとお題を読むと、100点満点で採点をしてくれます。
  • 献立アプリ
  • ご飯の献立をランダムで提案してくれるアプリです。歌を歌いながら料理を画像と共に薦めてくれます。食べたいか食べたくないかを聞かれるので、食べたいと答えるとそのメニューの詳細情報とQRコードを表示してくれます。スマホなどでQRコードを読み込むと、レシピを見ることもできます。食べたくないと言うと別の献立を提案してくれます。

来ていただいたお客様はPepperを初めて見る方が多く、とても興味をもっていただけました。オーディションアプリでは全力で演技をし、高得点を獲得する方々がたくさんいました。献立アプリでは歌を歌うところで一緒にリズムにのって踊ったり、薦められた献立をみて「季節に合っていて、美味しそうね」と言って頂いたり、楽しんでいただけたと思います。

4.まとめ

今回Pepperの勉強を2回にわたって行いましたが、ロボットということで最初はどうしても苦手なイメージがありました。しかし実際にやってみると理解をしてしまえば仕組みはそんなに難しくなく、誰にでもロボットを動かすことができるということが分かりました。Pepperは操作やプログラムを作成するのを簡単に行うことができます。また、多くのアプリが内蔵されており、使用の幅も広く、さまざまなことに活用できるのではないかと思いました。これを機にPepperについてもっと深く勉強してみたいと思いました。

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報告者: 椎野綾菜(情報デザイン専攻/松田ゼミ)

今年から、オープンキャンパスで、学生が主体で作成したデモを展示する場所を設けていただき、多摩キャンパス、千代田キャンパスで、椎野、鈴木、石川(松田ゼミ)の3名が作成した2つのデモの展示を行いました。図1は、6月21日に多摩キャンパスで行われたオープンキャンパスの様子です。図2は、8月1日、2日に千代田キャンパスで行われたオープンキャンパスの様子です。ここでは2つのデモのうち、椎野が作成した脳波を用いたゲームについて説明、報告します。

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図 1 多摩キャンパスのオープンキャンパスの様子
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図 2 千代田キャンパスのオープンキャンパスの様子

1.デモの内容

今回オープンキャンパス用に作成したのは脳波センサーを利用したゲームです。図3はゲームの画面です。実際には、この画面は図4に示すように壁面に投影して表示しました。これは、「脳で集中すればするほど、キャラクターがたくさん発生する」というゲームです。脳波センサーをつけて何かに集中すると画面上に最大で25匹のキャラクターが発生され表示されます。しかし、集中できないと1匹もキャラクターが発生しません。このため、参加してもらった人には、集中しやすいように数を1から順に数えてもらったり、真剣に1つの場所を見てもらったりするなどして高得点がとれるようにしました。画面の右側の集中度のメーターと数字が、リアルタイムの集中度を表しています(ここでは29%と表示されています)。この集中度をもとに上から出てくるキャラクターが増えたり減ったりしし、出てきたキャラクターの数が左側のスコアに反映されます。

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図 3 ゲーム中の画面

図4は実際にゲームをプレイしているときの様子です。

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図4 ゲームをやっている様子

2 どうやって実現したか?

脳の集中力を計測するために、図5の「MindWave Mobile」という脳波を計測できる器機を使用しました。この計測器は、頭につけることで得られた脳波から集中度を計算できます。このデータはパソコンに送りプログラムで処理することができます。この集中度をプログラムで得点化することで、50秒間でどのくらい集中できたかをゲーム的に視覚しています。データを受け取り、処理し、ゲームとして表示するプログラムは、1年生で習ったプロセシングで開発しました。脳波をプロセシングに取り込む部分は本学研究補佐員の由谷哲夫さんに作成していただいたライブラリを用いました。

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図 5 MindWave Mobile

「MindWave Mobile」は、図6の丸で囲まれているところにセンサーがついています。上の平らな部分を額にあて、クリップになっているところを耳たぶに挟み図6のように装着して脳波を計測します。計測したデータは、1秒ごとにパソコンに送られゲームに反映されます。

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図 6  MindWave Mobileのつけ方

3 来場者の反応

今回のオープンキャンパスでは合計で44人の方に本ゲームに参加してもらえました。デモを行ってみて分かったことが2つありました。1つ目は、「脳波を使ったゲーム」をやることに抵抗がある思う人がいることです。また、図4のように壁にプロジェクターで投影することで、自分の集中力がほかの人に見られてしまうことが恥ずかしと思う人が多くいらっしゃいました。なかなか自分の集中度を把握することはなく、自分の集中力が低かった場合どうしようと思う人が多かったようです。特に、オープンキャンパスはご両親と一緒に来ている方がほとんどだったので、親に集中力がないのがばれてしまったらどうしようというと思う方もいたのかもしれません。2つ目は、本学のオープンキャンパスは、図7のタイムテーブルをみてどの学科ガイダンスと体験授業を受けるかを決めているという人や、全体を学生が説明してくれるツアーで通りかかっただけで時間が限られているという人が多く、ゲームには参加できない人がいたことです。

実際にやっていて、オープンキャンパスで脳波を使ったゲームをデモすることは、抵抗があったりほかのスケジュールのことがあったりしてデモの難しさを感じました。しかし、参加してくれた人からは、自分の集中度合いやゲームの結果にかかわらず「おもしろい」や「すごい」といってくれる方が多くいらっしゃいました。

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図 7 オープンキャンパスのタイムスケジュール

4 デモ作成で苦労した点

前にも書きましたが、このゲームを作成するために使用した、プログラミングの言語はプロセッシングです。この言語は、大学1年生の後半で学んだプログラミング言語です。授業で学んでいた時は覚えていたことも1年以上使用していないと忘れてしまい、いざプログラムを作ろうと思ってもなかなか思い出せなくて苦労しました。また、脳波データをゲームにするところでも、キャラクターの出し方や個数、画面のデザインなども、なかなかうまく思った通りにならず何回も試行錯誤を繰り返しました。

5まとめ

今回のオープンキャンパスでは、初めての試みだったため、なかなかうまくいかないこともたくさんありました。オープンキャンパスでデモを行う場合、大学を見に来てくださった高校生が自分の都合に合わせて見られる展示のほうが、より多くの高校生に見てもらえて大学に知ってもらえると思いました。オープンキャンパスでは、来場者の時間が限られているため、気軽にできて分かりやすいデモがよいのではないかと思いました。

最後に、デモの作成を手伝ってくださった本学社会情報学部情報デザイン専攻研究補佐員の由谷哲夫さん、デモの機会を提供してくださった大妻女子大学の先生方、ゲームに参加してくださった高校生と保護者の皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

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情報デザイン専攻の中野希大先生(写真)は、共同研究者の渡辺真太郎さん(首都大学東京)とともに、8月25日(火)、武蔵野美術大学で行われたADADA Japan学術大会で、「ADADA Japan 2015 研究奨励賞」(一般研究者を対象とした賞)を受賞しました。

この大会は、デジタルアート、デジタルメディア、デジタルコンテンツに関して幅広い観点から新しいアイディアを交換し、未来を議論することで日本国内のデジタルクリエーションをますます活性化させることを目指しています。今大会の発表は80件(参加者150名程度)を超え、うち一般研究者を対象とした受賞は6件でした。

受賞研究(作品発表部門)
「プロジェクションマッピング技術を用いた物理的空間に溶け込むインフォグラフィックスの開発」
中野 希大,渡辺 真太郎

受賞した研究は、プロジェクションマッピング技術を用いて、物理的空間に溶け込む情報環境としてのインフォグラフィックスの開発を目指したものです。ある環境における様々な計測データを、インタラクティブに変化するモーショングラフィックスに変換し、別の場所の空間的特性に合わせてリアルタイムに投影・配置するシステムを開発・デザインしました。屋外や遠く離れた場所の状況や、その時系列的な変化など、複雑な情報をユーザの置かれた環境において「周辺感覚的」に感じ取ることができるという利点があり、屋内(商業施設、病院など)や地下などの空間で展開することが期待されます。

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上:大会での展示の一部(木漏れ日がモチーフのモーショングラフィックが投影されている様子)
下:デザインイメージ(Cdsセルや3軸加速度センサ等とArduinoを使用し、リアルタイムでグラフィックが変化する)

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情報デザイン専攻・炭谷先生のゼミ生が、地域の犯罪予防と安全で明るく住みよい街づくりに尽力したとして、6月24日付で多摩中央警察署と多摩稲城防犯協会から感謝状が贈られました(上写真)。

これは、ゼミ生らが同防犯協会からの依頼で、多摩稲城防犯協会公式ホームページを制作したことが評価されたもの。本学OGで当時4年生だったゼミ生2人が約5カ月かけてゼロから制作したホームページを、現在のゼミ生が引き継いで、同防犯協会に代わりホームページの更新作業を行うなどの運営に携わっています。

今回の感謝状の授与を受けて、同ゼミ生4年の土屋有紗さんは「大学で学んでいるwebデザインの技術が生かせるのではと思い、ホームページ制作に取り組みました。この制作を通じて、地域の皆さんが地域の安全のためによりよい環境づくりに関わっていることを改めて実感しています。自分自身、学ぶことが多かったにも関わらず、感謝状までいただき、驚いています」と話すと、「これからは、地域の方々が自分たちでホームページの更新ができるよう、お手伝いしていきたいです」と今後の展望を語っています。

(この記事は大妻女子大学公式HPからの転載です)

8月29日の多摩オープンキャンパスにご来場いただいた皆さま、ありがとうございました!

午前中からずっと雨にもかかわらず、多くの方に来ていただきました。担当の教員からは、体験授業で熱心に聞いていただける方が多かったという報告がありました。また、学生相談でも、専攻の雰囲気や授業のことなどを積極的に質問する受験生が多かったそうです。

今回で今年度のオープンキャンパスでのプロジェクションマッピングやインタラクティブアート作品の展示は最後となりました。はじめての試みだったのですが、「大妻にこんなことができるようになる専攻があるんだ」「将来につながる新しい分野が学べるんだ」と、多くの方に知っていただける機会になったようです。制作や説明を担当した学生も、ただ作るだけではなく実際に見て体験してもらうことの大切さを実感したようです。これからも普段の様子や学生の作品をホームページを通じてご紹介していきたいと思います。


千代田校で行ったプロジェクションマッピングの様子

次回は、10月18日(日)に大妻多摩祭(学園祭)と同時開催します。
多くの学生が参加するので、いつもと違いとても賑やかな雰囲気になります。
またぜひご来場ください。