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1.ゼミ生が作品制作を通じて得たもの

 堤ゼミは、社会情報学部が設置された1992年入学の一期生からずーっと開講されてきたゼミナールで、コンピュータを介した図的アプローチを主題に、Graphic mindの発達を大切にしながらさまざまな取り組みを行ってきました。コンピュータグラフィックスやさまざまなデバイスを取り込んで、興味ある現象や教材、課題を解き、錯視やゲームにも挑戦してきました。

 2016年には、当時第1回コンテストが開催された東京国際プロジェクションマッピングアワードに3年ゼミ生が初参戦し、以後8年間第一次審査を通過して東京ビッグサイトでの上映・審査会に出場してきました。作品制作の要となるコンピュータグラフィックスの受講開始時期は参加タイミングに重なってしまいますが、初夏の企画提出段階(6月中旬)では、いろいろ調べ、考え、議論して企画案を練っていきます。その頃のゼミ生はそれこそ一人一人が個々に意欲的な分、まとまりがつきにくく教員もハラハラしながら見守っていますが、学生はわいわいがやがやマインドマップを作成しながら、やがて仲間の考えを理解するようになります。

 3DCGなどの表現技術の力はまだ低くても、今後、職場や仲間内においても大事なアイデア出しや発想力を社会とのかかわりを持つアワード参加の場で訓練して高めていく様子は、ゼミの行為としても効果的だといつも感じています。

 第一次審査通過後は、制作に向けて個人個人のスケジュール調整が始まります。3年生では専門科目の授業がほとんどになるため、なかなか大学での制作時間が取れませんが、私の指導の肝は、「何を教えるか」ではなく、「できる限り顔を突き合わせて話し合わせる」こと。そこで、夏休み後半から10月にもなると毎晩22時(大学のコンピューターが自動的にシャットダウンされる)まで実習室で共同作業。いわゆる放課後の作業が連日続くわけですが、それでも提出を終えて2,3日も経つと、ゼミ生曰く『なんだか、あの時間が懐かしい気がする!』

 そして、毎年、学生の3DCGスキルは期間中に格段に進歩しており、ちょっと助言をしただけで、数時間すると『作り直しました。』。しかも意図を十分に組んでくれています。いつも繰り返しと実践が大事だと感じる瞬間です。

 

2.過去(2016年から2021年)の参加作品とその概要

vol1Vol.1参加作品:「Starting over」

 人体に由来しない尺度によって、人間と建物との調和と秩序が埋もれつつある世界を危惧した“もじゅろう”(モデュロールに由来)が地球に乗り込むが・・・。

 

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Vol.2参加作品:「Come on -四季の世界-」

 四季ごとの情景の変化や日常生活の潤いを日本独特の紋章、『家紋』のデザインを通して表現しました。

 

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Vol.3参加作品:「祭・踊・祈」:大会テーマ【JAPAN】

 祭りの中で行われる“踊り”や“祈り”を東京ビッグサイトの壁面に彩ることで、“踊り”が生み出す生命力に満ちた躍動感や一体感、“祈り”の表現として用いられる光の温かさや幻想的な景色を表現しました。

 

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Vol.4参加作品:「ある時はしなやかに、ある時は力強く」:大会テーマ【
調和/スポーツ

 火焔土器は「燃え上がる炎」を象っています。その見た目は力強さの造形美・燃え上がるスポーツ選手の闘志そのもの。日本古来からの技法である墨絵でダイナミックなストロークとアスリートのフォルム、ダイナミックで俊敏な動きや、しなやかで美しい動きを描きました。

 

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Vol.5参加作品:「共栄共存」:大会テーマ【
CONNECT with

一見、不自由にも見える生きものたちが、逆に、今の人間では失われてしまった能力を発揮して繋がりあい、人間が壊してしまった環境に一度は自らも破壊されながら再生していく様を、闇と光の対比によって表現しています。

 

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Vol.6参加作品:「Re:Earth」:大会テーマ【
新しい時代/New Era

私たちは、生物の生態系や自然環境を破壊しつつあります。この現状に目を向けて、手遅れにならないうちにケアしなければならない時代に来ています。作品の中では、これまでの人間の行動を表しつつ、受け身の態度を捨ててロボット技術やIOTを駆使して能動的に取り組む姿を表現しました。

 

3.2022年Vol.7参加作品の概要とゼミ生の感想

  昨年11月19日(土)に東京ビッグサイトで行われた「プロジェクションマッピングアワードVol.7」では一昨年に引き続き同アワードに唯一の女子大学チームとして出場しました。大会テーマである「Enjoy!!!」を受けて、女子大生ならではの可愛さに基づいた「Enjoy!!!」を表現することを目ざして、約半年間制作を続けました。ビッグサイトの特徴でもある逆三角形の壁面だからこその演出や、奥行き感を出すことを特に意識しました。この作品を見てくださった人が、身の回りにあるちょっとした「Enjoy!!!」に気づくきっかけとなったら嬉しいです。当大会では全国から勝ち抜いた14チームの作品が投影されました。3年ぶりの有観客+オンライン配信での実施となったVol.7ですが、現地には7,497人が来場、オンラインではのべ303,936人が視聴したそうです。(代表者)

 

 

  • 作品概要

 

Vol.7参加作品:「POPPING GIRL」:大会テーマ【ENJOY!!!

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図 Vol.7参加作品:「POPPING GIRL」のイメージ・ビジュアル

 

私たちは、テーマの「ENJOY!!!」というワードを目にしたとき、“弾ける感覚” が漠然と頭に浮かびました。その感覚は、同時に“かわいい” ものでもあり、それは 21年間生きてきた中で目にしたもの、体験したもので表現できることに気がつきました。

この作品を通して、これまでとこれからの人生の弾けるような輝きと彩りと、避けては通れない壁という少しのスパイスを詰め込んだ最大限の「ENJOY!!!」を。幼いころに夢見たこと、輝いた青春、挫けそうなときに心のよりどころになってくれるもの、そして、これからの未来、そんな「ENJOY!!!」を私たちなりの表現で伝えていきたいと思います。

 

 

  • Vol.7アワードに参加したゼミ生(2022年度、3年ゼミ生)の感想

 

仲間と切磋琢磨してプロジェクションマッピング作品を作り上げるというとても貴重な体験ができ、コロナ禍でなかなか通学することが出来なかった大学生活で、最高の思い出を作ることが出来ました。(H.S.)

CGの講義で学ぶことに加えて常に自分達で調べて試行錯誤を繰り返すことで作品として形にしていきました。コロナ禍と共に始まった大学生活でしたが、堤先生を含めゼミのメンバーと切磋琢磨して取り組んだ半年間は忘れることのない貴重な経験です。(M.S.)

全員が右も左もわからず不安もありましたが、逆に未経験だからこそ、すべてが学びになったり、壁にぶつかったときも堤先生のご指導のもとチームで一丸となって打破したり、自分たちの強みを生かして今年のテーマである「Enjoy!!!」を体感しながら制作することができました。(H.A.)

今回の大会は、学生生活の中で1番の思い出となりました。制作過程は初めての経験ばかりで苦戦することも多々ありましたが、完成した作品を見たときにとても感動したことが印象に残っています。(M.I.)

プロジェクションマッピングに参加するにあたって、今まで触ったことのないソフトや機材に触れることができてとても勉強になりました。賞はとることができなかったけれど、貴重な経験ができたと思います。(U.I.)

チームで1つのことに取り組んだ経験はあまりありませんでしたが、同じ目標に向かって頑張る仲間がいることで熱意に感化されることもあり、1人でやるよりも何倍も達成感がありました。 (M.M.)

 制作時は難しい作業が多く大変だったけど、同じゼミのメンバーと協力しながら考えて取り組むのは楽しく、充実感がありました。投影された作品を見た時は色や動きがとてもきれいに映っており、感動しました。(S.H.)

 プロジェクションマッピングの映像制作は、3DCGや動画編集など初めて挑戦することがたくさんあったためハプニングなどが度々起きましたが、チームのメンバーやリーダーなどの助けにより無事完成することができました。貴重な体験ができてよかったです。(K.M.)

 プロジェクションマッピングを制作するという初めての挑戦でありながらコンテストに出場させていただき、大変なことも多くありましたが、みんなで楽しく制作できたと思っています。とても貴重な経験となり、大学生活の大切な思い出の一つとなりました。(E.S.)

 CGを用いた映像制作を行うのは初めてでしたが、ゼミのメンバーたちと試行錯誤しながら作業を行い、とても良い作品を作ることができました。コロナ渦でなかなか大学での思い出を作ることができなかったため、今回のアワードが大学生活の中で1番の思い出になりました。(R.O.)

 

 

  • 大会当日の記録写真

 


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(会場正面写真:© 東京国際プロジェクションマッピングアワード実行委員会)

公式サイト:https://pmaward.jp/

 

4. Vol.8アワード(2023年)へ

 11月に東京ビッグサイトで東京国際プロジェクションマッピングアワード Vol.8が開催されます。与えられたテーマは「open」。今年も3年ゼミ生が書類審査を通過しており、猛暑もいとわず大学に集合して作品制作を行ってすでに提出しました。

参加決定直後には、昨年アワードを体験した現4年ゼミ生3名が3年生のゼミ時間に経験談と助言を伝えるなど、活発なゼミ内交流もできました。今回の作品“Imagine”は、日常を支配する「当たり前の価値観」が、未経験な状況と対峙する中でリセットされ、新たに芽生えた感情によって異形の者共にも徐々に受容と共感を示し、最後には己の内面まで解き放たれていくという物語です。

11月11日にはVol.8上映会が開催予定で、全員で楽しみにしています。

 

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