社会生活情報学専攻

PICK UP !授業

03

ソーシャルメディアを通して
社会や生活について考える

ソーシャルメディア論

松本 早野香

Sayaka MATSUMOTO

  • 2・3年生必修科目
  • 水曜2限

コンピュータとインターネットの登場によって私たちの生活は一変し、誰もが情報を発信・共有・拡散できるようになりました。しかし、誰もが上手に使いこなしているでしょうか?本科目では、人と人とのつながりを「資本」としてとらえる考え方を紹介しながら、SNSやインフルエンサーなどについて解説しています。

ソーシャルメディア論1

講義室での授業風景

そもそもソーシャルメディアって?

個人や企業など誰もが情報を発信・
共有・拡散できる史上初のメディア

 そもそも「ソーシャルメディア」とは何なのでしょう。これまではメディアと言えば、不特定多数の人たちにリーチする新聞やテレビなどのマスメディアを指しました。一方、インターネットの発展によって生まれたのがソーシャルメディアです。これは、個人と個人、個人と企業を気軽につなげて、誰もが情報を発信・共有・拡散できるようにした史上初のメディアです。社会の変化としても非常に革新的な出来事なので、その点も踏まえながら授業をつくり込んでいます。

たとえばみなさんお馴染みのSNSもソーシャルメディアの一つです。SNSを使って情報発信し、多くのユーザーに影響を与える人を「インフルエンサー」と呼びますが、実は同じような人は「オピニオンリーダー」と呼ばれ、昔からいました。SNS時代にも注目を集めているのは興味深いところです。たとえばこのようにして浮かび上がるものごとを検証していく授業です。

どんなことを学ぶの?

ソーシャルメディアは社会や
生活にどんな効果をもたらすか

 本科目では、まず日常的に使用しているSNSを入口に、個人の生活と人や組織のつながりを理解してもらいます。現代の私たちは、血縁や地縁に縛られず生きることができ、一つの職場にとらわれず転職なども簡単に繰り返せます。これは自由で素晴らしいことです。一方で、こうした社会では、自分にとって必要な「縁」まで失うことになりかねません。無自覚にぼんやり生きていると、どんどん孤立していく、そんなリスクのある社会だとも言えます。

 「縁」を失うのはもったいないですね。ではどうすればいいのでしょう。現代では、「縁」は自分で獲得していくしかないのです。その手段としてSNSやインターネットは有効なツールになるわけです。ただし、全ての人が使いこなせるかというと、そこは疑問です。  そこで、ソーシャルメディアが私たちの生活や社会にどんな影響を与えているかを探りつつ、どんなつながりが、どんな効果をもたらすかを学んでいきます。真剣に学べばいろいろな科目に応用でき、これからの生活や将来の仕事でも役立つ思考が身につくと思います。

授業を受けるにあたって

数多くある聞きなれない言葉も
定義さえ覚えておけば大丈夫

 本科目では聞きなれない言葉がたくさん出てきますが、定義さえしっかり覚えていけば大丈夫です。重要概念を先に説明してから具体的な内容に進むので、知識を積み重ねれば理解できるようになります。復習は提供しているスライド教材で行い、内容に興味を持ったら、毎回添付している文献リストなどで興味の対象を深掘りしていくとよいでしょう。

 学びはじめの人向けの授業ですが、卒業研究と関連させる学生もいるので、別途指導したり、参考書籍を貸し出したりしています。重要な概念については「授業が終わっても、これだけは覚えておいてください」と強調し、授業中に何度もふりかえりをしています。

 学問的知見だけでなく、生活上注意してほしいポイントも盛りこんでいます。誤解すると偏見に結び付く可能性がある話題や、個人のふるまいでは問題なくても社会的な問題の要因になる現象もあるので、それらについては問題点を強調して話すようにしています。

今後、SNSとの関わりは
様々なシーンで増えてきます!

個人による
活用・情報発信は
もちろん…

就職してからは、
自社のSNSの
運営や顧客調査に
活用したり…

マンションなどの
自治会や町内会などで
SNSを利用したりなども

メッセージ

人は若い頃に出会ったメディアに適応しやすいと言われています。それなら、SNSの使い方は年長者より学生のみなさんの方がずっと上手いはずです。その強みを生かして、時代の流行に振り回されず、SNS社会でよりよく生きる知恵とノウハウを身につけてください。

近年は、メディア系の企業でなくても、自社でSNSのアカウントを運営したり、SNSで顧客の声を集めたりしていますから、仕事をする上でも役に立つことでしょう。私は「勉強はよりよく生きていくためのツール」だと思っています。授業で学んだことが、何年か先、何十年か先に、みなさんの生活に豊かな潤いをもたらしてくれるとうれしいです。

プロフィール

松本 早野香(まつもと さやか)

名古屋大学大学院人間情報学研究科博士課程単位取得退学。東京都墨田区生まれ。「社会関係資本」(他の人に抱く信頼、持ちつ持たれつの規範、人々の間にある絆・ネットワーク)が豊かな地域で育った影響もあり、インターネットメディアを活用しながら、コミュニティにおける社会課題を解決する研究を行っている。

KEYWORD

ソーシャルメディア

社会関係資本

社会ネットワーク分析