「プログラミングと脳研究」の第2報告
2023年09月14日
本郷教授らが国立精神・神経医療研究センターのもと、共同で進めてきた研究が原著論文「Changes in functional brain activity patterns associated with computer programming learning in novices」として、脳神経科学の国際学術雑誌Brain Structure and Functionに掲載されました。研究チームは初心者のコンピュータ・プログラミング学習を反映する脳の局所活動の変化を調べるために、fMRIデータの縦断解析を行いました。その結果、①研究に参加した学生のプログラミング遂行精度は、後期段階に有意に向上したこと、②前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉皮質のさまざまな領域と、いくつかの皮質下構造(尾状核および小脳)が、プログラミング作業中に活性化していたこと、③右下前頭回における脳活動は、後期により大きくなり、課題遂行能力の向上と有意に相関したこと、④左下前頭回でもプログラミング課題中に高い活動が見られたが、学習による活動の変化と課題成績の向上との間に有意な相関は見られなかったこと、などが明らかになりました。
これらのことから結論として、初心者のコンピュータ・プログラミング学習は、右下前頭回内の機能的神経可塑性を誘発するが、左下前頭回(ブローカ野)内の機能的神経可塑性は誘発しないということを世界に先駆けて明らかにしました。
脳を対象としたプログラミング教育の研究は限られており、効果的なプログラミング学習法の確立には至っていません。今回の知見は、右下前頭回の活性化に着目した今後の教育法の開発に貢献できる可能性があります。